「男性だらけ」靴磨きの世界に入った女性の覚悟 「全部平均点より、何か1つ飛び抜けていたい」

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新しいスタートを切ったんだなという実感と同時に、ほんの少しかもしれないけれど、師匠に認めてもらえたうれしさを今も鮮明に覚えています。

女性が少ない靴磨きの業界は「私が切り開く」

実は今、SNSやメディアで私の活動を知ってくれて、「靴磨き職人になりたい」と相談してくれる人も多いんです。

でも、やってみると体力的にきついとか、イメージと実際の仕事内容にギャップを感じてすぐに辞めていく人も少なくありません。

(写真:Woman type編集部)

それでも私がなぜ続けられたのかというと、二つ理由があります。

一つ目は、お客さまの存在があるから。

靴を磨きあげてどんどんきれいになっていくと、お客さまのテンションもアップして、表情がみるみる明るくなる。

そういう顔を見るのはうれしいですし、靴がきれいになっていく過程をお客さまと共有できるのは、靴職人の醍醐味の一つだと思います。この瞬間が、私にとっては代えがたいものなのです。

実は以前、「女性の靴磨き職人がいる」と新聞に取り上げられたことがあって。それを機に、全国から靴磨きの依頼が届くようになったんです。

当時はまだ職人としては経験が浅いにも関わらず、依頼してくれるお客さまの存在はとてもありがたかったですね。

二つ目は、女性の靴磨き職人として、業界全体を盛り上げていかなくてはという使命感があるから。

一般的に靴は消耗品だとイメージされがちですが、革靴に限って言えば、100年以上スタンダードなデザインが変わっていないですし、きちんと手入れしたり修理したりすることで長く履くことができる。

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