「男性だらけ」靴磨きの世界に入った女性の覚悟 「全部平均点より、何か1つ飛び抜けていたい」

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退職を決意した時も「遠い先に未来を案ずるより今の気持ちに正直になろう」と思ったからでした。

もちろん、それで失敗することもたくさんあるでしょうけど、その瞬間に感じた価値観やセンス、興味があるものに目をつぶらず、しっかり向き合いたかった。それが人生をより面白くすると思うんですよね。

靴磨き職人は「靴を磨く」だけではない

靴磨き職人としての修行がスタートしても、いきなりお客さまの靴を磨くことはできません。

まずは靴磨きの基本を習得するために、革靴の製法や構造について勉強したり、父親や佐藤の靴を借りてひたすら練習したりしましたね。

(写真:Woman type編集部)

約半年後、ようやく靴磨き職人としてお店に立つことができたのですが、実際に仕事をしてみるとギャップを感じました。

というのも、師匠である佐藤はバーカウンターでお客さまに目の前に座ってもらい、会話しながら1時間かけて靴磨きを完成させていくスタイル。

靴をきれいに磨き上げるだけでなく、お客さまを1時間楽しませ続ける、エンターテインメント的な要素もなければならないんです。

今まで私は、「ただ靴を完璧に磨ければいい」と思っていたので、私が抱いていたイメージとは掛け離れていて戸惑いましたね。

しかもお客さまの年齢層は20代~60代と幅広く、その多くは男性です。世代も性別も異なるお客さまを楽しませるためには、幅広い知識が必要。

そこで、男性向けのファッション誌や、車や時計の特集が組まれた雑誌を読んだりしてひたすら勉強していました。

また、今でも思い出すのが初めて担当したお客さまのこと。

雨用の革靴を磨かせていただいたんですが、最後に光沢をつくる工程があって、雨用の革靴はあえて光らないようにするんです。

でも、お客さまはご存じではなくて、「キラキラにしてください」と言われてしまって。

可能ではあるのですがかなり難しい技術が必要で、当時の私のスキルでは、想定時間より40分もオーバーしてしまいました。

時間内に終わらせられなかったことをすごく反省しているのですが、実はその時に必死で靴を磨いている私とお客さまの様子を、師匠である佐藤がこっそり写真に残してくれていて。「今まで頑張りましたね」とメッセージを書いて、私にプレゼントしてくれたんです。

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