「男性だらけ」靴磨きの世界に入った女性の覚悟 「全部平均点より、何か1つ飛び抜けていたい」
それなのに、革靴をメンテナンスしながら長く履く女性は、男性と比べると圧倒的に少ないんですよ。
さらに女性用の革靴は種類も豊富ではなく、「興味はあるものの自分に合ったものを見つけるのが難しいから」という理由で履くのを諦めてしまう方も少なくない。
それってすごくもったいないことだと思うんです。
だから私が筆頭になって、男性だけでなく女性にも「一つのシューズを長く大切に履く」という文化を根付かせたい。
それが私の仕事のモチベーションになっているんです。
全部平均点より、何かに突出した働き方の方が私らしい
もし人生の選択に悩んでいた24歳の頃に、「安定」を選んで受付事務の仕事を続けていたら? 想像すると少し自分が怖くなりますね。数値化したら平均点みたいな人になっていたんじゃないかって。
もちろん生き方は千差万別なので、それがいいという価値観の人もいますし、否定するつもりはありません。ただ、私はたとえ「修行」として働いたとしても、自分が「面白い」と思える人生を歩みたい。
師匠である佐藤に3回も弟子入りを断られても、絶対に自分の信じた道を閉ざしたくなかった。会社員としての道を選択して、至極まっとうな人生を歩むのは「私らしくない」。
私は、ちょっと危なっかしい生き方が面白くて好きなんです。あまりおすすめはしないですけどね(笑)
もちろんパートナーや家族など、本当に手放してはいけないものがある人は手放さない方がいいと思います。ただ、自分の心と体が健康であれば、それ以外のことはどうにかなってしまうことも多いと思うんです。
私も、会社員としての安定の道を手放して挑戦した結果、ようやく「自分らしい働き方」を実現できたのかなと思います。
尊敬するロザリーナさんに会うためにイタリアに行った時、彼女から「私を目指すのではなく、あなたはあなたの思う職人になりなさい」と言われたのはずっと心に残っていて。
私は靴磨き職人になって6年たちましたが、彼女のように自分のポリシーをしっかりと持ったブレない職人になりたいなと思います。
いつか「日本のロザリーナ」と呼ばれる存在になれるよう、努力していきたいですね。
河村愛菜(かわむら・まな)さん
(取材・文/モリエミサキ 編集・撮影/柴田捺美(編集部)
※写真は一部、河村さんご本人より提供)
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