原発事故で戦略の抜本的見直しを迫られる原子炉ナンバーワンの東芝【震災関連速報】

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原発事故で戦略の抜本的見直しを迫られる原子炉ナンバーワンの東芝【震災関連速報】

危機的状況が続く東京電力福島第1原子力発電所。原発事故については、メーカーに賠償責任が生じないことが「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」によって定められているものの、今後、原子力産業が冬の時代を迎える可能性は高い。

日本の原子炉メーカーは、東芝、日立製作所、三菱重工の3社。このうち福島第1原発に原子炉を納入していたのは東芝と日立製作所(1号機は米国のGEが納入)。両社の株価は原発関連銘柄として大幅に下げた。

ただ、市場関係者の中には「連結事業全体に占める割合を考えると、原発事業の構成比はそれほど高くない」との見方もある。確かに、原子力事業の売上高は日立製作所で2000億円強。連結売上高の2%強でしかない。同社の電力システム事業の売上規模は9000億円弱で、うち大半を占めるのが火力だ。

とはいえ、気になるのが東芝への影響。同社は「選択と集中」の遅れた日立と違い、半導体と原子力の2本に経営資源を集中させてきたため、今後、戦略の抜本的な見直しを迫られそうだ。

東芝は2006年に米国の大手原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)を買収。沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)の両方を手掛ける世界唯一のフルライン企業として、世界ナンバーワンの原子炉メーカーとなった。

東芝は原子力事業の売上高を公表していないが、06年のWH買収時点で両社合計の売り上げ規模は4000億円程度とされた。仮に現在5000億~6000億円の売上高があるとすれば、連結事業全体に対する原子力の売上構成比は5~6%程度とみられる。

当初は54億ドル(約6200億円=当時)の買収価格が高すぎると批判されたものの、その後、世界で原発ルネサンスが進行するにつれ、市場関係者も、その戦略を高く評価。半導体のNAND型フラッシュメモリと原子力事業を成長エンジンに据える東芝は、2010年に発表した経営方針で2015年度にメモリで1・1兆円、原子力事業で1兆円の売上高目標を掲げていた。

そんな矢先に起きた原発震災。世界原子力協会によれば、3月2日時点で世界の原発建設計画は158基(提案中も含めると482基)あるが、すでにドイツを中心に原発政策を見直す動きが広まりつつある。

ちなみに、米国ではスリーマイル島の原発事故(1979年)をきっかけに原発建設は凍結、原子炉メーカーの淘汰が進んだ。

(長谷川 高宏 =東洋経済オンライン)

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