脱炭素に「機動戦士ガンダム」が一役買う理由 愛知県豊田市がタッグを組みイベントを開催

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豊田市のとよたエコフルタウンで開催された「ハロー!カーボンニュートラルフェスティバル」(12月10日、11日開催) (写真:筆者撮影)

日本最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車の本社がある愛知県・豊田市。そんな豊田市は官民一体となり全国の自治体に先駆け、カーボンニュートラルおよびSDGsを推進する取り組みに力を入れている。

トヨタ自動車のお膝元の街である豊田市は、知名度が高い一方で、ものづくりの“産業”とクルマが行き交う“交通”から出るCO2(二酸化炭素)排出量の多さに悩まされていた。

そこで豊田市や、トヨタ自動車、中部電力、名古屋大学など官民学80以上の企業や団体が加盟する「豊田市つながる社会実証推進協議会」が2016年に設立された。このほか、市が主体となり、先進技術の社会システムへの活用実証や、カーボンニュートラルをはじめとした、さまざまな社会課題の解決に向けた施策が取り組まれてきた。

そんな豊田市がカーボンニュートラルの新たな取り組みとして実施したのが、人気IPの活用だ。具体的には脱炭素をテーマにした『機動戦士ガンダム映画祭』(2022年11月25日〜12月8日)や、体験型の市民イベント『ハロー!カーボンニュートラルフェスティバル』(12月10日、11日)を開催した。

「カーボンニュートラル」が浸透していない

これまでにもカーボンニュートラルを市民と学ぶためのイベントは実施してきた豊田市だが、IPを活用した取り組みは今回が初めてだ。

その背景を豊田市・企画政策部未来都市推進課の清水智哉氏は「カーボンニュートラルという言葉が、なかなか市民に浸透していないことがあります」と明かす。

「2009年からさまざま取り組んできたことで、豊田市のCO2排出量は確実に下がっています。基準年の2013年に対して、直近の数字で産業の製品出荷額は2割伸びている一方、CO2排出量は2割減。産業力を落とさずにCO2削減を実現しています。一方、民生(家庭)の部分がなかなか減らすことができていません」(清水氏)

どうにか各家庭での排出量削減を呼びかけるために、目をつけたのが『機動戦士ガンダム』だった。

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