みずほ銀行「業務正常化」には至らず、22日午前のサービスを制限

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みずほ銀行「業務正常化」には至らず、22日午前のサービスを制限

「メドがつきつつある」--。システム障害から膨大な未処理件数を抱えていたみずほ銀行は、21日夕方に西堀利頭取が会見し、トラブルの解消状況と翌日以降の業務方針を説明した。

3連休に全ATMを停止する異例の措置をとり、これまでの未処理取引(89万件)の解消作業を最優先して行った結果、22日に送金手続きが行える状態へ漕ぎつけた。だが、完遂ではない。途中、処理作業に遅れた生じた影響で、22日朝に行う予定だった通常のバッチ処理(集中作業)の時間的な余裕がなくなり、日中作業に回さざるを得なくなったからだ。

このため、22日の営業店オンラインの立ち上げが遅れ、午前中は窓口やネットバンキングでの振込を受け付けないなど、対応業務の一部を制限。現在停止中のATMは店舗内ATMだけが8時から稼働し、窓口と同様に午前中の振込ができない。サービスの制限を解除するのは午後からになる見通し。

25日には大量の給与振り込みを控え、月末は企業間決済が集中するため、連休中の作業の進捗状況次第ではさらなる混乱を招くおそれもあった。22日夜の通常のバッチ作業に移行できれば、23日以降の業務も正常化し、追加的なトラブルは回避できる見通しだという。もっとも、先週からのシステムトラブルを受け、企業によってはみずほ銀行から他行へ給与振り込みの肩代わりをお願いするケースもあり、取引先や他行への影響は小さくない。

今回のトラブルの原因について、西堀頭取は「特定口座への大量の振込がきっかけになった」とする。つまり、予想を上回る振込手続きでシステムエラーが発生し、それが夜間のバッチ処理にも影響を及ぼし、未処理取引件数が積み上がるという悪循環が生じた。

口座の容量を超えた背景には、義援金の振り込みがあったとも言われるが、会見では「システム上の手当が十分でなかった。銀行側のヒューマンエラー」と説明するだけで、具体的な理由は言及せず。それだけに、メガバンク3行の中で、なぜ、みずほ銀行にだけ容量オーバーが生じたのかは釈然としない。

仮にシステム容量の設定で単純ミスがあったとしても、それを契機に、未処理件数の積み上がりやATM稼働の停止などトラブルが増幅したという大きな問題も残る。みずほフィナンシャルグループは2002年に大規模なシステム障害を起こした後、再発防止策を作り、緊急時の対応手順も整備している。今回の問題では、未処理取引件数の解消を急ぐあまり、適切な対応がとられなかった可能性もある。西堀頭取はこれについて、「何が本当に問題だったか。厳密に精査してく」と話した。
 
 トラブル対応の精査はもとより、入金遅延による法人や個人への補償をどのように行うかなど、みずほ銀行には課題が山積している。

(井下 健悟 =東洋経済オンライン)

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