自分にとっては正義だと思っていても、それは、他人にとっての正義になるとは限りません。SNSでは、違う正義どうしの戦いが起きてしまうのです。
「善」か「悪」かではなく、「自分にとっての善」と「その人にとっての善」との戦いですから、どうしても対立になってしまいます。
『チャッター』には、日記を書くことで、問題からズームアウトし、自分の内なる声と対話するという「日記の効能」が紹介されていますが、これは、自分にしか見られないように日記を書きなさい、ということだと思います。
自分の意見をSNSで不特定多数に見せようとすると、「それはあなたの意見でしょ」と否定されかねませんが、自分で自分を客観的に分析したいなら、第三者に見せる必要はありません。ですから、自分だけの日記を書くというところがポイントでしょう。
「本当の自分」は青い鳥?
とはいえ、自分との距離をとるのはなかなか難しいことですよね。いろんな成功モデルがあふれていますし、失敗した人を見て不安になることもあり、本当の自分が見えなくなってしまいます。
僕は、「本当の自分」なんて存在するのかな、ということもよく考えます。どこかに「本当の自分」があるのではないかと思い、自分探しをしたところで、それは青い鳥のようなものなのではないか――。
自分探しは、「自分を探す」ということにとらわれている状態でもあります。それが高じて、「自分のいる職場はここじゃない」と思い込み、転職をくり返す思考につながることもあります。
月並みな言葉ですが、やはり、バランス感覚が大切でしょう。そのためにも、チャッターをコントロールすることが重要となってきます。
一方、客観視というものも、やりすぎると、1つのことに集中できなくなってしまいます。そういうときは、「足るを知る」。これがいい言葉だと思いますね。
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