東武100系スペーシア、「超豪華特急」の意外な一面 「ソフトで優雅」な印象のボンネットの裏側は?

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豪華なのは客室の設備ばかりでない。車体は東武初のアルミニウム合金製。床部分の厚さを130mmにして客室の静粛性向上を図った。有料座席特急の営業列車で初というVVVFインバータ制御を採用。交流モーターを編成の6両すべてに搭載した全電動車で、編成出力3600kWのハイパワーを誇る。

東武日光線の新鹿沼駅以北には急勾配が連続する区間がある。デビュー当時を知る車両管理所主任の泉川友彦さんは「明らかに急勾配の区間に入っていても、ラクラクと加速をするのは、いまでもすごいと感じます」と話す。

外開き式のプラグドアは、開くときは45度の角度で外側にせり出し、スライドする仕組み。車両カタログによると「戸袋部を無くすことによる気密性向上および車体外面と扉と平滑化する」目的で採用した。が、特殊な構造だけにメンテナンスの苦労も多かったようだ。

東武「スペーシア」先頭部ボンネットの内部
ボンネットの裏側には制御機器などがびっしりと並ぶ(記者撮影)

関係者以外はまず見ることができない車両の一面も。「ソフトで優雅」な印象のボンネットの内側には、制御機器のほか、運転室の空調や列車無線に関係する機械がびっしり取り付けられている。前照灯・尾灯の裏側も見える。メンテナンスのためになんとか大人1人が入れるスペースではあるが、ここでの作業はとくに夏場は大変そうだ。

JR線にも活躍の場を広げる

デビューから30年以上にわたる活躍の間、100系スペーシアはその姿と役割を変えてきた。

2006年には、かつて日光への旅客争奪戦を繰り広げたJR東日本と新宿―東武日光・鬼怒川温泉間で特急列車の相互直通運転を開始した。スペーシアの3本の編成にJR乗り入れ対応機器を搭載、JR式の座席番号表示やグリーン車マークを取り付けた。JR宇都宮線と東武日光線が立体交差する栗橋駅の連絡線を介して両社線を行き来する。

臨時列車としては、JR中央本線の八王子発着で武蔵野線を経由する特急「スペーシア八王子きぬ」「スペーシア八王子日光」を運行することがある。JR線内の途中停車駅は立川、新秋津、北朝霞。各駅でJR南武線、西武池袋線、東武東上線などと乗り換えができる。

また、東武沿線以外の盛り上げにも一役買ったことがある。2017年6月24日、JRグループのデスティネーションキャンペーンに関連し、JR東日本が特急「スペーシア那須野号」を大宮―那須塩原間で1往復運行した。こちらの途中停車駅は久喜、小山、宇都宮、宝積寺で、栗橋―那須塩原間への乗り入れは初めて。東武の車両がJR線だけを走行するめずらしい場面がみられた一日だった。

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