東武100系スペーシア、「超豪華特急」の意外な一面 「ソフトで優雅」な印象のボンネットの裏側は?

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2011年には同年開業した東京スカイツリーのライティングデザインに合わせて水色、紫色、サニーコーラルオレンジの3種類にデザインをリニューアルした。2015年には「日光東照宮四百年式年大祭記念」として金色に輝く「日光詣」のカラーを追加した。2021年以降は日光詣、オリジナルの「デビューカラーリング」「デラックスロマンスカーカラー」のラインナップとなっている。

那須塩原に乗り入れた「スペーシア」
日光詣カラーでJR線を特別運行した「スペーシア那須野号」=2017年6月24日(記者撮影)

デラックスロマンスカーカラーは100系スペーシアの先代、1960年に登場した1720系をイメージした。デラックスロマンスカーは、その呼び名の通り、シートピッチは1100mmあり、自動で開閉する貫通扉の“マジックドア“や、サロンルームにジュークボックスを備えるといった豪華な仕様だった。1991年8月に100系スペーシアに置き換えられたが、1720系のデラックスな足回りは伊勢崎線の特急「りょうもう」に使用される200系に転用されている。

次世代に引き継ぐ「伝統」

そして2023年、日光・鬼怒川エリア方面に次世代のフラッグシップ特急が登場する。デビュー日は7月15日。車両の形式名は「N100系」、愛称は「SPACIA X(スペーシア エックス)」といずれも100系スペーシアの伝統やイメージを引き継ぐ。

N100系は6両固定編成(212席)が4本。車体色は日光東照宮に由来する「胡粉(ごふん)」の白をイメージし、窓枠や愛称のロゴは鹿沼組子をモチーフにした。「スタンダードシート」から、7人が定員の最高級「コックピットスイート」まで6種類の座席を用意。スペーシア伝統のコンパートメントはコの字型にソファを配置して居住性を高める。

車両管理所の泉川さんは100系スペーシアのデビュー当時を「1720系デラックスロマンスカーも豪華な車両だったが、それに負けないようにと開発された。登場して数年は“スペーシア効果”でものすごい盛り上がりだった」と振り返る。

同社は、100系スペーシアの今後について「7月にN100系スペーシアXが新たなフラッグシップ車両として登場したあとも当面の間は一緒に運用する」(広報部)方針だ。大型新人による「スペーシア効果」の再来に期待しつつ、30年前のバブル経済の余韻の中で登場した超豪華特急に改めて注目してみるのもよさそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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