萩生田氏を交代できない岸田首相「弱腰人事」の訳 復興相と総務政務官の交代のみ、政権は機能不全

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そして改造を見送った岸田首相は、27日に出演したBS-TBSの番組で驚きの発言を行った。

「それ(増税)までには選挙があると思います」

前出の萩生田政調会長の発言に足並みをそろえる発言。首相が衆議院の解散という「伝家の宝刀」をいつ抜くか、期限を切るのは前代未聞だ。

ある閣僚経験者はこうつぶやいた。

「岸田首相が増税を次の選挙の争点にすると約束したようなものだ。岸田下ろしが起きるきっかけを作ってしまった」

発言翌日の28日、松野官房長官はわざわざ記者団を集めて「岸田首相に発言の真意を確認したところ、税が上がる前の選挙も可能性としてありうるということを言っただけだ」と釈明したが、萩生田氏に配慮せざるをえない岸田首相の弱腰が印象づけられる結果となった。

政権の「機能不全」を抱えたままの2023年

岸田政権には体を張って危機管理に当たる側近も、政策実現のプロセスを描くスタッフも見当たらず、首相が前面に出て、場当たり的判断を繰り返してきた。また党内へのにらみが効かず政権批判が閣内からも公然と飛び出す状況だ。

岸田首相はこの構造的な機能不全には手をつけず、新しい年を迎えようとしている。激動する世界情勢の中、日本もさまざまな課題でまったなしの対応が求められる2023年、われわれはどんな政治を見せられるのだろうか。

青山 和弘 政治ジャーナリスト、青山学院大学客員研究員

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あおやま かずひろ / Kazuhiro Aoyama

元日本テレビ政治部次長兼解説委員。1992年日本テレビ入社。1994年に政治部に異動し、以来羽田政権から石破政権まで16の政権を取材。野党キャップ、自民党キャップ、ワシントン支局長を歴任し、国会官邸キャップを2度6年に渡り務める。与野党、省庁を問わない幅広い人脈を持ち、分かりやすい解説には定評がある。2021年に独立し、メディア出演、記事執筆など精力的に活動している。HP:青山和弘オフィシャルウェブサイト

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