萩生田氏を交代できない岸田首相「弱腰人事」の訳 復興相と総務政務官の交代のみ、政権は機能不全
これまでなら、保守派から岸田首相の方針に批判が出ても、最後は安倍晋三元首相がとりまとめ役を担った。安倍氏亡き今、岸田官邸が最も期待したのが、萩生田光一政調会長だった。萩生田氏は安倍元首相が最も目をかけた政治家で、安倍派を代表する形で党3役の一角、政調会長に就いている。岸田側近はこう語っていた。
「最後は萩生田さんが出てきて『あとは俺に任せろ、打ち方やめだ』と宣言して、保守派を抑えてくれるでしょう」
しかし今回、最後まで萩生田氏は出てこなかった。岸田官邸は増税容認派議員を会議に大量動員してなんとか保守派を抑え込んだが、ある自民党幹部はこう吐き捨ててた。
「萩生田は何のために安倍派から執行部に入っていると思っているんだ。こういうときのためだろう」
一方、安倍派議員は萩生田氏の立場も決して強くはないと解説する。
「安倍派では西村康稔経産相や世耕弘成参院幹事長も安倍さんの跡目を狙っている。萩生田さんが若手議員の支持をつなぎとめるには、ここで岸田首相に尻尾を振るわけにはいかない。積極財政による経済再生は、安倍元首相の遺志の一丁目一番地だ」
解散の必要性を主張した萩生田氏
さらに萩生田氏の発言が官邸を驚愕させる。25日のフジテレビの番組で、岸田首相が増税を決めたら、実施する前に「国民に判断いただく必要が当然ある」と語ったのだ。
増税を争点にした解散総選挙の必要性を主張し、岸田首相にプレッシャーをかける発言に、閣僚の1人は憤りをあらわにする。
「解散のタイミングについて、党3役の1人が勝手なことを言うなんて常軌を逸している。首相になったつもりか」
萩生田氏は10月、旧統一教会問題で更迭された山際大志郎・前経済再生相を独断で党コロナ対策本部長に抜擢して岸田首相の不興を買った。それに加え、増税論議で保守派の抑え役に回らなかったこと、さらには今回の解散発言を合わせ、「3アウトだ」と語る自民党幹部もいる。
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