人はなぜ「2つ目のお願い」聞き入れてしまうのか 「絶対にお勧め」はNG、正解は「友達が言ってた」

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つまり、自社の責任をきちんと認めた企業のほうが、好感度が高くなったのです。

これは実際に、テレビで会見などを見ても実感があると思います。

最初にきちんと謝り、原因を解明する約束をし、「今後二度と起こらないようにする」と語った場合、そこまで炎上しないことが多いものです。

卑屈な「どうせ…」発言は周囲を暗くする

卑屈な言葉は、周りを暗くします。「どうせ」という言葉はその代表格でしょう。

どうしても短所が目についてしまうなら、長所とうまく結びつける方法がおすすめです。

しかもそれができたら、長所だけを並べるよりも魅力が増すことがあるのです。

ドイツ・ビーレフェルト大学の社会心理学者ボーネル教授らは、あるレストランに関する広告を3種類作って、消費者からの評価を調べました。

① くつろいだ雰囲気のお店です(長所のみ伝える)

② くつろいだ雰囲気の店ですが専用駐車場はありません(長所+それに関係ない短所)

③ 狭い店ですが、その分くつろいだ雰囲気です(短所+それに関連した長所)

結果、いちばん評価が高かった広告は、③の「短所を長所に関連づけて載せた広告」でした。

つまり、短所は長所と関連づけて訴えると、長所だけを訴えるよりプラスの効果が高くなるのです。

このテクニックを使うときのコツは、まず、誰が見ても明らかな欠点や短所を認めたうえで、それに関連づけられた「メリット」「長所」を述べるということです。

この方法は、1970年に老舗ケチャップメーカー「ハインツ」を危機から救った広告にも共通しています。

当時、ハインツのケチャップには、ガラス製の瓶から出しづらいという弱点がありました。

『面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そこでハインツが採用したのは、以下のコピーでした。

「ハインツのケチャップはおいしさが濃いので、瓶からなかなか出てきません」

このコピーによって、ハインツはたちまちシェアを取り戻したのです。

最大の弱点を長所と関連づけることで、消費者に不便さを納得させたと言えるでしょう。

人に長所と短所があるように、どんな商品にも良い面と悪い面があります。

この研究結果からもわかるように、弱点も長所に関連づけて伝えれば、魅力を引き立てるスパイスになるのです。

伝え方で損をしないためにも、この機会にぜひ、気持ちいい伝え方を身に付けてみてください。

川上 徹也 コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表

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かわかみ てつや / Tetsuya Kawakami

大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。50社以上の企業の広告制作や各種プロジェクトに携わる。東京コピーライターズクラブ新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴は15回以上。中でも、企業の「哲学」や「理念」を1行に凝縮して旗印として掲げる「川上コピー」が得意分野。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した第一人者として知られ、現在は広告にとどまらず、「企業」「団体」「地域」などが本来持っている価値を見える化し輝く方法を、個別のアドバイスや講演・執筆を通じて提供している。著書は累計13万部突破の角川新書バカシリース(『物を売るバカ』『1行バカ売れ』『こだわりバカ』)をはじめ計24冊。海外(台湾・韓国・中国)での出版も翻訳中も含め15冊を数える。

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