「クルド人施設銃撃」で露呈した仏移民差別の暗部 根強い「国は移民を守ってくれない」という不満

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クルド人関係施設で発砲があった翌日に追悼集会が行われ、集まった人たちと警官隊の間で激しい衝突が起こった(写真:AP/アフロ)

パリ10区アンギャン通りのクルド文化センターで12月23日、3人の在仏クルド人が殺害される銃乱射事件が発生した。フランスのクルド民主評議会(CDKF)によると、3人はクルド人コミュニティーのメンバーという。

日本でも銃乱射死亡事件として報じられたが、フランス内務省の扱いがテロ事件と断定していないことから日本での報道も微妙な事件と報じられている。2015年以降、イスラム過激派による大規模なテロが頻発しているフランスでも、メディアは今回の事件をテロ扱いすることに慎重だ。

銃を乱射し身柄を拘束された69歳の白人男性は、取り調べで人種差別主義者だと認めているという。最初は武器弾薬を所持し、移民住民が7割に達するパリ北郊外のサンドニに向かったが、効果的な攻撃ができないと考え、パリ10区に移動して犯行に及んだと伝えられている。2016年に移民系窃盗犯に自宅に押し入られ、移民を憎んでいたとも供述している。

男性は元鉄道運転手で、昨年は移民キャンプを刃物で襲い逮捕された前歴もある。精神的異常も認められ、いったんは警察本部の精神科病棟に入院し、週明けに再度、警察に出頭させたとパリ検察庁は発表した。同時に検察は事件の背景捜査を継続しており、テロの可能性も排除しないで捜査を続けている。

追悼集会の参加者が暴徒化

さらに、事件後の騒乱もフランス国内に衝撃を与えている。事件翌日、パリ市内で行われたクルド人犠牲者の追悼集会に集まった在仏クルド人や支援者の一部が暴徒化。日刊紙パリジャンは「現場は戦場と化した」と報じた。折しもフランス国鉄(SNCF)がストライキを行っており、クリスマス休暇で移動する人々の混乱が起きている最中の出来事だった。

暴徒化した追悼集会の参加者は、現場となったパリのレピュブリック広場や第2の都市マルセイユで警察当局と厳しく対峙し、動員された機動隊に火炎瓶を投げつけ、駐車していた車に火をつけ、路上で車をひっくり返し、騒乱状態に陥った。

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