「マスコミ取材」広報がうまく立ち回るための秘策 プレスリリースと記事との「差分」を読み解く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

経験が浅かった頃、納得いかない記事に怒って「私の担当商品をこんなにひどく書くなんて信じられない」と、編集部に抗議の電話をしたこともあります。誤報でもなく、客観的事実に基づいて書かれた記事でしたから、文句を言う筋合いではなかったのに……。ただ、これは担当編集者やライターの懐が深かったから許された話です。決してまねしないでください。

本題に戻りますが、取材された側が感じる期待と現実とのギャップを埋めるため、広報にできることがあります。

「事実」と「推測」に切り分けて記事を読む

記者から送られてきた取材依頼書をそのまま取材対象者に流すだけなら、広報は必要ありません。間に一人入るため、対応のスピードが落ちるだけです。広報としては、過去の記事傾向から想定される記事イメージと、それに伴う質問項目をインプットしておくのが望ましいでしょう。ちなみに媒体によっては取材依頼書にある質問はダミーで、メインの質問を書いていないこともよくあります。そのあたりの媒体特性についても、十分理解しておくべきでしょう。

例えば経済誌やビジネス誌の特集記事などは、ある程度記者がストーリーを考えてから取材に来ます。多くの企業がそうした媒体の取材を受けていることは、過去記事に目を通せばわかります。そのストーリーの中で、それぞれの「役者」に言わせたいセリフがあるのだと思います。取材を受ける会社は、自社がどの役回りなのか、そしてどのようなセリフを求められているのか、広報は熟考しなくてはなりません。

そこを怠り、「○○誌から取材依頼があった!」と浮かれてホイホイ取材を受けると、「俺が言いたかったことが書かれてない!」とか、「思ったような記事じゃなかった」といった事態を引き起こす可能性があるので、ご注意ください。

媒体特性をつかみ、自社のセリフを検討するには、記事の読み方が大切です。それは記事中の文章を「事実」と「記者や媒体の考えや推測」に切り分けて読むことです。記事の主語の有無と、文章の締めの部分を見れば大体わかります。何度も繰り返して癖にしてしまえば、無意識にできるようになるでしょう。

次ページ広報のスキルアップに役立つこと
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事