大納会までの5日間が2023年相場のヒントになる 「掉尾の一振」がなくても株価から目を離すな

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こうして見ると、26日からの5日間もおそらく大きな水準訂正はないかもしれない。しかし、NYダウやS&P500種指数が史上最高値だった2021年のラスト5日間と違い、2022年のラスト5日間は日経平均が1年間の大きなモミ合いを経験した末のラスト5日間となりそうだ。

すでにナスダックにおいては、十分な調整を経ている。この5日間が2023年の相場のスタートラインになる可能性も十分ある。

先取りをしすぎて失速した半導体関連株も、1年間の鍛錬を終えたといえるのではないか。しかし一方で、2022年後半から急騰している銀行株は、先取りから実現へと進む相場であり、まだ若い。そんな目で2023年の注目セクターを見るのも面白い。単純に長期間上げたものは下げ、長期間下げたものは上げると、割り切って考えるべきだ。

日銀は自らを窮地に追い込むことはしない

さて、日本銀行が12月19日に発表した7~9月期資金循環統計(2022年9月末)の個人金融資産残高は、前年同期比16兆円増(0.8%増)の2005兆円となり、4四半期連続で2000兆円の大台を超えた。株価下落でマイナス20兆円となったものの、資金の純流入が36兆円あったためだ。

実は、この循環統計にはもう1つ重要なことが記されていた。9月末時点の国債(国庫短期証券を含む)発行残高を見ると1214兆円と、6月末(1225兆円)からやや減少した。

だが、経済主体別の保有状況では、最大保有者の日銀の保有高が545兆円と6月末(542兆円)から3兆円増加し、全体に占めるシェアも 44.9%(6月末は44.3%)と上昇している。さらに、1年超の長期国債に限れば、日銀のシェアは 50.3%(6月末は49.6%)で過去最高となって50%を超えた。

また日銀はETF(上場投資信託)を51.3兆円(3月末時点)も持っており、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の49.5兆円を超える、上場企業の最大の株主だ。主要企業の株を満遍なく持ち、その保有割合もすさまじい。上位5社ではアドバンテスト(25.2%)、ファーストリテイリング(20.7%)、TDK(20.6%)、太陽誘電(20.1%)、東邦亜鉛(19.7%)などとなっている。

これを見ればわかるとおり、株や国債が下落すると、いちばん困るのは日銀だということだ。20日の金融政策決定会合後の記者会見では黒田東彦総裁が長期金利変動幅拡大について、「金融緩和の効果をより安定的に発揮でき、賃上げがより行いやすくなる」と説明し、意味不明とされたが、これで本当の理由がわかるはずだ。

つまり日銀は、総裁が替わっても株や国債が暴落するようなことはしないということだ。もちろん今後、市場が勘違いして時折下がることはあるかもしれない。だが、日銀は自らが困るようなことを率先して行うことはありえないのである。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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