防衛力強化にかじ切った岸田内閣・防衛費大幅増 「反撃能力」保有で米国製トマホークに2113億円

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政府が23日に閣議決定した2023年度予算案では防衛関係費が大幅増となった。岸田文雄政権が防衛力強化に大きくかじを切る中、敵の侵攻を遠距離から阻止する「スタンドオフ防衛能力」を増強。米国製の巡航ミサイル「トマホーク」取得に契約ベースで2113億円を計上したほか、「反撃能力」保有に向けた部隊配備も進める。

新たな防衛力整備計画を踏まえた5年間の総事業費は約43.5兆円。防衛省は防衛力整備事業を新たに15の分野に分類し、23年度は約9兆円を配分した。

同省は、侵攻に対して主に自国の反撃能力を使って対処し、同盟国などの支援を受けながら阻止・排除できる防衛力を27年度までに構築することを目指している。23年度の総額は米軍再編等を含めると前年度比約26%増の6兆8219億円と初めて6兆円台に乗り、過去最大を更新した。

訓練中の陸上自衛隊員(2021年11月)Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ゲームチェンジャー

防衛力整備計画は27年度末までは自衛官の定数の総計は増やさずに対応する方針を明記している。23年度予算案には航空機や車両など無人で偵察や情報収集を行う「無人アセット防衛能力」を強化する経費も盛り込まれた。

防衛省は「革新的なゲームチェンジャー」と位置付けており、偵察や警戒、監視用の無人航空機や車両に81億円、小型攻撃用航空機に30億円を計上した。同省は、他国に比べて導入が遅れている分野であり、長期連続運用を可能にすることで「隙のない警戒監視態勢を構築する」としている。

また、国家防衛戦略で「必ずしも十分ではない」と指摘した自衛隊が継続的に部隊を運用する能力の向上も図る。弾薬の取得に前年度比3.3倍となる8283億円、企業の製造ライン拡充に1618億円を計上した。

23年度事業費の主な内訳(契約ベース)

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著者:萩原ゆき

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