電気製品や自動車の一部生産が止まる可能性も、信越半導体白河工場操業停止の波紋【震災関連速報】
東日本大震災直後から操業停止が続く信越化学工業の信越半導体白河工場(福島県西白河郡西郷村)。半導体の基板材料であるシリコンウエハの世界大手である信越化の主力生産拠点が機能停止に陥っている事態は、電気製品や自動車など半導体を用いるさまざまな工業製品に関連する産業や企業に、幅広く影響を及ぼす可能性がある。
白河工場は18日までの点検作業で製造設備が損傷していることがわかった。電力などのインフラが復旧していない中で余震も続き、設備点検作業は一時中断を強いられるなど、難航している。18日時点で復旧の見込みは立っていない。仮にインフラが復旧したとしても、シリコンウエハは超精密な加工が必要な製品であり、製造設備の再調整や品質の確認などに時間を要する可能性もある。操業停止は1カ月単位に及ぶおそれも出てきた。
白河工場は信越化が直径300ミリのシリコンウエハで主力とする生産拠点。ウエハの材料となる単結晶(インゴット)もつくっている。白河工場の詳しい生産能力について信越化は明らかにしていないが、グループ全体で月産100万~110万枚(300ミリウエハ)とされる信越化の生産能力の半分以上は占めているとみられる。白河工場からは、主に日本やアジアの半導体メーカーへ供給しているようだ。
信越化は群馬や長野、米国などで直径300ミリのシリコンウエハをつくる工場で、白河工場の代替生産を検討しているが、その準備にも時間がかかりそうだ。シリコンウエハは汎用的な製品でなく、顧客の半導体メーカーごとに細かく仕様が異なるためだ。
信越化は半導体シリコンウエハの世界市場で3割程度のシェアを持つ。その主力工場が停止している事態をざっと見積もると、少なくとも世界の1割程度の半導体シリコンウエハが、今後1カ月単位で供給できない可能性があるということだ。
半導体はパソコンや携帯電話などの電気製品のほか自動車などにも使われている。めぐりめぐって、それらの産業のサプライチェーンに重大な影響を及ぼすおそれもあるといえそうだ。
一方で、シリコンウエハはリーマンショック後の需要急減を受けて、価格が大幅に下落した経緯がある。今回の事態で品薄状態が懸念されれば、需給逼迫から価格が上がるというシナリオも考えられる。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
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