「Uber Eats配達員」に接触されたらどうする? 自転車事故で「高額賠償」となるケースもある

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次に、ウーバーイーツ配達員の運転する自転車にぶつかられたときの具体的な対応についてです。交通事故の当事者は警察に通報しなければいけないため、ウーバーイーツ配達員の運転する自転車にぶつかられたときには、警察に連絡をして配達員と共に警察の到着を待つのが基本です。警察が到着する前に、配達員が事故現場から離れてしまうと、その後配達員が誰なのか特定することが難しい場合がありますので、基本の対応を忘れずに行うようにしてください。

自転車はバイクと違ってナンバープレートによる特定ができず、また現在ウーバーイーツ配達員の識別番号表示はされていません(2021年3月に東京都がフードデリバリーサービス配達員の識別番号表示を各事業者に求める方針と報道されましたが、現時点で配達用リュックに識別番号表示をつける対応をしているのはウォルトだけのようです)。そのため、もしも、警察が到着する前に、配達の優先または事故の責任をおそれる等の理由により配達員が事故現場から離れてしまった場合には、損害が生じても賠償請求をする相手を特定することが難しくなる場合があります。

自転車事故でも高額賠償となるケースも

次はウーバーイーツ配達員の話でなく、自分または家族が自転車事故の加害者となることを想定した話です。自転車の事故なら自動車の事故に比べて被害及び賠償金額は小さいか、というとそんなことはありません。自転車事故でも被害が大きくなり数百万の賠償金を支払うケースもあり、さらには数千万円の賠償金を支払うことになったケースもあります。

男性高校生が昼間自転車を走行中に車道をななめに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突し、会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った事案において、男子高校生(事故当時)に約9266万円の賠償が判決で認められています。

また、事故を起こした未成年が責任能力(損害を生じさせた行為が道徳上許されないということを理解するだけでなく、違法なものということを理解できる能力)を有しない場合があります。

責任能力の有無は年齢を中心に判断されることが多く、大体12歳前後が責任能力の有無の分かれ目となります。事故を起こした未成年が責任能力を有しない場合、その未成年は賠償責任を負いませんが、監督義務者が監督義務を果たしていなかったときは監督義務者が賠償責任を負うことがあります。加えて、未成年者に責任能力がある場合、未成年が賠償責任を負い、かつ保護者も監督義務違反を理由に未成年と連帯して賠償責任を負うことがあります。

11歳の男子小学生が夜間自転車で走行して帰宅中、歩道と車道の区別のない道路上で歩行中の62歳の女性と正面衝突し、女性は頭蓋骨骨折等の障害を負い意識が戻らない状態となった事案において、男子小学生は責任能力なしとされましたが、監督義務者に約9521万円の賠償が判決で認められています。

監督義務者の監督義務内容に明確な基準があるわけではありませんが、裁判例からすると、未成年の年齢が低いケースほど、未成年に対して一般的な交通ルールを教えて守るよう指導するだけではなく、未成年者の実際の走行態様や帰宅ルート等利用する経路を踏まえて具体的な指導監督を行うこと等が求められているといえます。また、未成年の年齢にかかわらず、未成年の使用する自転車に賠償責任保険を付けることも求められているといえます。

宮川 舞 銀座数寄屋通り法律事務所 弁護士

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みやがわ まい / Mai Miyagawa

東京弁護士会所属。会社間の紛争を中心に、訴訟を多く手掛ける。また、『名誉毀損の慰謝料算定』(学陽書房)の執筆陣に名を連ねるなど、名誉・信用・プライバシー・肖像・パブリシティの侵害に関わる研究や事案に造詣が深い。弁護士による誹謗中傷対策 弁護士宮川舞公式サイト

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