部署横断プロジェクトが「やっかい」な3つの理由 権限は明確でないのに責任はあるということも

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原因1  権限と責任がはっきりしない

1つめは、既存の組織ではないから、指揮命令系統、つまり権限と責任がはっきりしない点だ。

既存の組織においては、リーダーが存在する。そのリーダーはそのまた上のリーダーのマネジメント下に入っている。社長を頂点とするヒエラルキーの中で、指示はどういうラインで届き、報告はどこにするか、というのが組織図上で明確になっている。

そして、そのリーダーの責任と権限も、組織図に則って規定されている(中には、「自分たちの会社では明確に定まっているものはない」という場合もあるかもしれないが)。

ただ、横断プロジェクトとなるとそうはいかない。目的のためにメンバーが集められ、チームがつくられる。そして、「責任と権限をしっかりと規定しよう」と悠長に議論している余裕などなく、すぐに案件に取り掛からなければならないことがほとんどだ。

権限は明確でないのに、責任は明確

その結果、リーダーの権限は明確でないことが多い。何せ新しいことを始めるためにプロジェクトをつくるわけで、もし経営の指示でプロジェクトがつくられ、リーダーが任命されたとしても、そのリーダーに強大な権限を与えるわけにもいかないのだ。

形として「プロジェクトチームの上位にあるマネージャーに報告する」という体制になっていたとしても、その人にとっても新しい仕事であったりするので、既存業務のようにしっかりとジャッジできなかったりすることも多い。

一方で、責任は明確だ。やるべきことが決まっているから、「それを実現せよ」というのがゴールであり、責任である。ここははっきりとしている。

だからプロジェクトリーダーは、「ゴールを達成するために、権限がほしい」と主張したりする。しかし世のプロジェクトは、ゴールや責任は明確だが、意思決定や、予算を使う権限が最初はないことが多い。プロジェクトが進捗して結果が出てくると、後からついてくるものだったりする。

リーダーとしてプロジェクトを預かる人は、ゴールの達成に責任を負うのだから、権限がほしいのはよくわかる。

ただ評価する側にしてみれば、未知へのチャレンジで、どう進むかわからないし、既存のラインとの関係もどうなるかわからないのだから、権限を与えづらい。世のプロジェクトの構造は、大抵そういうことになっているのである。

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