ドンキ、ドンペン交代撤回が日本経済に好材料な訳 「情熱価格」の安さの秘密が示す明るくない未来

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さて、実は歴史を振り返るとこれとまったくおなじことが40年ほど前に起きています。日本で最初のPBを発売したダイエーの歴史です。

ダイエーは1978年に日本初のPBである「ノーブランド商品」を発売しました。ところが、その翌年に第2次石油ショックが起きて、企業物価が急上昇します。そのコスト上昇を当時の日本企業は企業努力で吸収していたのですが、このタイミングで1980年にダイエーはPBのブランド名を「セービング」にリニューアルします。

ここでお話ししたいのは、発売当初のセービングはコンセプトとして「理由があって安いこと」を打ち出していたことです。例えば「製造工程で本来は廃棄される端の部分も使用しています」といった具合に、その商品がなぜ安いのかをパッケージで打ち出していたのです。

私が記憶しているのはセービングのマヨネーズに「卵の黄身をつかわずに白身だけでつくりました」と書かれていたことです。食べてみると黄身抜きでもブランド物のマヨネーズとそれほど風味も変わりませんでした。

今考えると、コレステロールオフの商品では白身に乳化剤をいれて黄身抜きでマヨネーズ風に仕上げるわけで、本当は健康にもよいマヨネーズだったのですが、当時は安い材料で安く作るところをアピールしていたわけです。

セービングを駆逐したのは無印良品

ところが第2次石油ショックが過ぎ去ると、ダイエーのセービングはPBの競争の中で敗者になっていきます。このときの勝者が無印良品でした。

無印良品は今では大人気のブランドですが、1980年の登場当時は西友のPBとして始まったものです。無印というネーミング自体が「ノーブランド」を意味するわけで、当時の業界最大手のダイエーのノーブランド商品への対抗意識があったのでしょう。発売当初のキャチコピーも「わけあって、安い。」でした。

セゾングループ総帥の堤清二がノーブランドではなくアンチブランドという哲学に触発されたことで、記号がないシンプルさ自体をブランドとして打ち出す方向に発展します。これが当時の記号論ブームともあいまって、無印良品は無印でシンプルな生活スタイルを代表するブランドにまで成長します。

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