ドンキ、ドンペン交代撤回が日本経済に好材料な訳 「情熱価格」の安さの秘密が示す明るくない未来
永山瑛太さんが出演するドンキのCMにその安さの秘密がアピールされています。一缶ずつのラベルコストを省いたツナ缶10缶パックや、ドラム式なのにあえて乾燥機能を省いた洗濯機に瑛太さんが驚いて「そこまでして安く!」「やりすぎだろ!情熱価格」とまとめるCMです。
この情熱価格の一連の特徴は、実は2022年の日本経済と関係しています。世界的な商品相場の高騰と円安を受けてスーパーに並ぶすべての商品が値上げの方向に動きました。これまでは多少原材料価格が上がっても企業努力で吸収させて安値を維持できていたのですが、ついにそれができない状態に日本経済全体が陥ったのです。
そこで流通各社はPBに力を入れます。イオンのトップバリュなど少なくともPBについては価格を据え置こうという動きが出たのですが、この努力も限界を迎えていることが2つの数字を比べてみるとわかります。
10月の消費者物価指数が3.6%に上昇してインフレを印象付けているのですが、実は直近で発表された11月の企業物価指数は9.3%も上昇しているのです。アメリカでは企業物価指数と消費者物価指数はだいたい同じ水準なのですが、日本では大きなギャップがあります。簡単に言えば、企業がまだ物価上昇を価格転嫁しきれていないのです。
さらに言い換えると、PBですらもう価格据え置きの余地はなく、むしろ2023年にはPBが値上がりする時代がやってくると予測されるのです。
安くするためにはさらなる工夫が必要
そうなるとPBを安くするためにはコストを吸収するだけではない工夫が必要になってきます。ドンキの情熱価格の場合、ただ驚くほど安い商品もたくさんありますが、中にはそれに加えた努力で価格を抑えている商品もたくさんあります。ここが2023年の企業努力のポイントです。
例えば、私が自宅で使っている情熱価格のバス用洗剤は78円と、メーカー品よりもかなり割安ですが、パッケージをみると「つめかえ用に絞ってみたら価格も絞れました」と書かれています。
このように2023年は「何かの工夫を加えなければ低価格を維持できない」経済環境がやってきます。ドンキの情熱価格はいち早くその前提条件を満たす方向で動いているのです。
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