JR東日本は大震災の直撃で今来期業績予想は大幅な減額に【震災関連速報】
東日本大震災は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の収益に大きな打撃を与える見通しだ。JR東日本は東北新幹線を含め今回の大震災の中心地である東北地方を営業エリアに持つうえ、もう一方の収益柱である首都圏の在来線も東京電力の計画停電に伴う一部運休・本数削減などのマイナスの影響をもろにかぶる。
「東洋経済オンライン」はJR東日本の今2011年3月期業績予想について、売り上げを2兆5600億円(前期比0.5%減)、営業利益を3450億円(同0.0%増)、純益を1150億円(同4.3%減)に下方修正する。四季報春号掲載の従来予想からは売り上げで400億円、営業利益で350億円、純益で300億円の引き下げだ。
売り上げは鉄道収入が360億円程度の減収となると予想する。1日当たり収入45億円のうち、鉄道収入全体の2割弱を占める東北新幹線、同7割の関東圏の在来線中心に現状の運休や本数減便、原発等の影響も含めた出控え各種屋外イベントの自粛などが春休みの書き入れ時を直撃する形となり3月末までに1日当たり最大17億円程度の減収要因になるというのが推定の根拠。駅ナカ等のその他減収も40億円程度はあるだろう。営業利益もこの減収の影響を受けざるを得ない。
特別損失は震災により線路、橋脚等欠損などで新潟中越地震の際計上した額400億円までの計上が最大予想される。新潟中越地震の際は信濃川水力発電でそのうち半分の被害額を占め、この分の損失がないのは今回の不幸中の幸いではあるが、震災の程度が深甚なことや震災対象エリアが遙かに広大であるのは逆に損失が拡大する要因になる。
現在は調査中で詳細な被害額が確定していない段階のため、保守的に新潟中越地震の際の額を推定特損額の前提に据える。一方で前回と異なり今回は最大710億円までカバー可能な地震保険が担保されている。被害額の調査確定・保険会社との交渉は残っているが、損失400億円のうち8割弱をカバーされる前程で震災関連の特別利益と損失のネット額は100億円程度のマイナスになると予想する。経常利益の減額分と併せ純益には300億円の下押し要因になると「東洋経済オンライン」は見込んでいる。
現時点では東京電力福島第1原子力発電所の事故に関連する問題が、いつまでにどうなるのかが不確定かつ最大の懸念材料だが、来12年3月期は4月下旬までの計画停電の影響や出控え等の影響が期初に残ること、徐々に復旧によるプラス要素も出てくることなどを総合的に考えて、上期中心に従来予想比で売り上げ300億円、営業利益250億円、純益150億円程度減額する。配当も従来は増収増益の程度を考慮して年間10円程度の増配含みと予想していたが、来期配当も110円配と今期並みとなりそうだ。
(大西 富士男 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》 (百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益 連本2010.03 2,573,723 344,848 235,137 120,214 連本2011.03予 2,560,000 345,000 251,000 115,000 連本2012.03予 2,640,000 375,000 283,000 145,000 連中2010.09 1,293,841 234,358 184,070 97,144 連中2011.09予 1,310,000 215,000 166,000 90,000 ----------------------------------------------------------- 1株益¥ 1株配¥ 連本2010.03 303.4 110 連本2011.03予 290.7 110 連本2012.03予 366.6 110 連中2010.09 245.6 55 連中2011.09予 227.5 55
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