それは、外部の研究者がプログラムを行うのではなく、まず校長や先生など教育者をトレーニングし、現場の先生が直接生徒に対して教えられるようにしたことで、継続性があること。また、プログラムを受けることによって、生徒だけでなく先生自身が自分の強みに気づき、それを生かしていく方法を学ぶことで、生徒の強みに注目するようになる。その結果、生徒に対する接し方も変わったということも考えられます。
それによって生徒との関係もよくなり、先生を信頼するようになる。すると前向きな気持ちが生まれ、行動も変わる。結果が出れば、さらに自分に自信を持つようになる。そんないい循環が生まれていったのかもしれません。
つまり、先生がポジティブ教育を学ぶことで、先生のウェルビーイングが高まり、そういう先生から学ぶことで生徒のウェルビーイングが高まる。よい連鎖が起きていったのではないでしょうか。
子どもたちにとって毎日過ごす場所は家庭と学校です。そこが、安心して過ごせる場所であることが、子どもたちのウェルビーイングには欠かせません。私も個人的な関心から、最新のポジティブ心理学を学び、ポジティブ心理学コンサルタント※になり、実際に子育てに悩む親や受験生にポジティブ心理学の要素を伝えています。
その中で、受験勉強で疲弊しやる気を失っていた子どもが、ありのままの自分でいられて安心して挑戦ができるような環境が整ったことで元気になり、成績も上がって志望校に合格した例があります。これも、親が変わることで親子関係がよくなった結果なのです。
幸せは伝染するといわれています。子どもたちのウェルビーイングを高めるためには、まず子どもを育てる立場にいる大人のウェルビーイングを高めることが重要なのです。
私は、現在PTAの家庭教育学級などで親向けにポジティブ教育の要素をお伝えしていますが、講演を聞いてくださった校長先生から、「これは教員も聞いたほうがいい」と言っていただくことが多いです。子どもたちはもちろんですが、多忙でストレスを抱える先生たちのウェルビーイングを高めるためにも、日本の学校でポジティブ教育が広がってほしいと思っています。詳しいことを知りたい方は、ぜひお問い合わせください。
※ニューヨークライフバランス研究所でポジティブ心理学コンサルタント養成講座を終了したものに認定される
(注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)
執筆:教育ジャーナリスト 中曽根陽子
東洋経済education × ICT編集部
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