「知の深化」バイアスに陥らないための視点とは パーパスブームから両利きの経営を問い直す

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冨山:個々の企業は、与えられた条件の中で、誰にどう役に立って、どれだけ事業が持続的に発展できる形で、その対価をもらえるかというゲームをやっています。だから、根源的にパーパスでない事業経営はありえないし、新しいことではない。

ESGやSDGsをしっかりやったほうがよいのは、そこに普遍性があるからで、単に流行だったら、やる必要はありません。パーパスに合わないビジネスは、どこかで破綻してしまい、持続性はない。

たとえば最近、日本の家電メーカーでテレビ事業が儲かっていないのは、決定的なお困り事に役に立っていないからです。

今やテレビよりスマホがパーパス的

入山:先日、某テレビ会社の社長さんが嘆いていました。ニュースの放送中に地震が起きたら、みんな一斉に、ツイッターで情報をチェックして、誰もテレビを見ていなかったと(笑)。

冨山:ましてや、テレビ画面は単なるディスプレーだから、ますます省みられない。テレビ地上波だけの時代には、見る価値があるから、受像機にお金を払っていたけれど、今は、スマホで足りてしまいますから。

だから、GAFAが儲かるのです。GAFAはけしからんという声もあるけれど、私たちはグーグルやアップルが無料で提供している公共財の恩恵に与っているので、彼らはすごくパーパス的なことをやっていますよね。

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