海を渡るiPhone、知られざる中古市場の実態 販売店が買い取る大量のスマホはどこへ?

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ほかにも、「ドコモの端末を持ち込んだ業者が、相場をきちんと把握せず、安値で売りさばいた」という話は複数聞かれた。いずれにしても、日本のiPhoneが世界最大の香港相場でも、影響力を持つことは確かだろう。

この香港でよく取引されるのは、iPhoneや韓国サムスン電子の「ギャラクシー」シリーズなど、世界共通モデルのヒット製品だ。 大半は「SIMフリー」と呼ばれる端末で、通信に必要な情報が記録されたSIMカードを挿入すれば、各国の事業者の通信サービスでも利用することができる。

一方、日本で販売されているiPhoneは、他社の通信網で使えないように携帯会社が制限をかけた「SIMロック」の端末だ。現在、各社は「競争対抗上の措置」「ロック解除の需要がない」といった理由などから、制限の解除には応じていない。

SIMロック端末は「ゴミ同然」

こうした端末は、「そのままでは使えないから、ゴミ同然」という中古業者もいるほど。SIMロック解除に手間がかかるせいか、取引価格はSIMフリーのiPhoneよりも、最大で1万円ほど安くなるという。

ただ、日本から中古市場に流入するiPhoneは、SIMロックが外れているようだ。その理由については、携帯会社が中古市場に出す前にロックを外している、日本国内でロックを外す業者がいる、香港にロック解除の専門業者がいるなど、諸説ある。結局、中古市場に出回る日本のiPhoneがSIMフリーに変身するカラクリはつかめなかった。こうして見るだけでも、スマホの中古市場は不明な点が多く、混沌としている。

世界最大の端末卸売業者、米ブライトスターで、北アジアの責任者を務めるラッセル・コーエン氏は、「世界的に中古端末の市場は大きく伸びている」と分析する。

ブライトスターはソフトバンクが14年1月に買収した会社。米携帯大手スプリントを含め、グループの下取り戦略を一手に担っている。世界50カ国に事業拠点を構え、200超の携帯会社、4000社超の量販店と取引がある。そんな同社で急成長しているのが、先進国で端末を仕入れて新興国に卸すという、中古端末のビジネスだ。

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