「部下が育たない上司」は話の聞き方を知らない 「早く言ってよ!」という状況になるのを防ぐ

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仕事は生き物です。日々、さまざまな問題が発生します。上司は、部下が直面した問題や課題を聞き出し、解決に向けて行動するのが仕事です。しかも、できるだけ早期に解決するが望ましいでしょう。自分の席にいないと、それだけ対応が遅れてしまいます。

また、上司の仕事は、意思決定が中心です。そしてその意思決定は、現状を把握したうえでなすべきです。その基礎となる情報収集ができていなければ、意思決定の精度も高まることはありません。だからこそ、なるべく席にいるべきなのです。

ホウレンソウをしつこく求めない

部下には、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしつこく求めないようにしましょう。求めすぎると、主体的なホウレンソウがなくなってしまいます。

上司と部下のコミュニケーションに紐づく考え方に、「発信者責任」と「受信者責任」があります。発信者責任とは、相談を持ちかけた〝部下〞に責任があるという発想です。それに対し、受信者責任とは、相談を受けた〝上司〞に責任があるという思考です。

理想は、上司が責任をとる受信者責任でいることです。受信者責任を基本としておけば、部下から持ちかけられるどんな相談や報告に対しても、上司が責任をとることとなります。それはすなわち、上司が責任を持って情報を集めることにつながるのです。

もし上司ではなく、部下が責任をとる発信者責任を基本としてしまうと、つい部下を指導・評価する視点に立ってしまい、「報告書がなっていない」「レポートの形式が不十分」「議事録の形になっていない」などと部下のミスに注目して指摘することになり、部下は完璧な報告資料を永遠につくり続けかねません。

会社や組織の利益最大化が一番の目的だとすれば、それらの指摘は些末なことだとわかります。むしろ、余計な仕事を部下に押し付けることとなり、本来発揮するべき生産性が得られないことにもなります。上司が得るべきなのは的確で正確な報告です。

大事なのは、ホウレンソウをしつこく求めることではなく、上司自ら拾いにいくことなのです。

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「聞く」ことの目的は、すでにお話ししたとおり、部下の考えや行動を把握することです。

部下と一括りに言っても、一人ひとり、考え方や受け止め方は異なります。特にイマドキ部下は、それが顕著です。だからといって、上司が部下を正しく理解しないままだと、最適な打ち手は打てません。

良い問いかけをすることで、部下本人も気づいていない本音を引き出せることもあります。

部下の話を聞くときには何よりも、なるべく部下が話しやすい空気づくりを心がけるようにしましょう。

福山 敦士 連続起業家/ビジネス教育研究家/香川オリーブガイナーズ球団代表取締役社長

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ふくやま あつし / Atsushi Fukuyama

1989年横浜生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を卒業。新卒でサイバーエージェントに入社後、1年目からグループ会社の起ち上げに参画。25歳でグループ会社の取締役に就任。営業本部長を兼任。27歳で独立し、株式会社レーザービーム代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスを起ち上げ、28歳で東証一部上場企業の株式会社ショーケースにM&A。29歳で同社執行役員、30歳で取締役就任。2020年、営業支援会社のDORIRU(旧ギグセールス)をM&A。2023年、プロ野球独立リーグ香川オリーブガイナーズ球団をM&A、代表取締役社長に就任。慶應義塾高校、鎌倉学園高校で講師を務める。高校時代は甲子園ベスト8。著書累計13万部。3児のパパ。

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