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ビジネス #新幹線は街をどう変えるのか

西九州新幹線、つながる沿線と「佐世保の疎外感」 長崎駅前は「100年に一度」の変貌の最中だが…

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  • 櫛引 素夫 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士
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整備新幹線のこれまでの開業事例でも、沿線の利害が一致しない例は散見された。しかし、新幹線への視点が長崎県と佐賀県ほど異なった例はおそらくない。

佐賀県東部は福岡都市圏のベッドタウン的な色彩を帯び、現在でも新鳥栖駅経由で既存の新幹線ネットワークに接続しやすく、博多駅までのアクセスも悪くない。このため、建設費負担や在来線への影響を上回るメリットを見いだしにくい。

一方の長崎県は観光客を海外や全国からも誘客できるパワーと実績があり、広域的なアクセスの向上や新幹線ブランドが大きな武器になりうる。
このように、長崎県と佐賀県の地理的環境や新幹線の使い勝手、ひいては地域・産業構造や世界観の差異が垣間見え、打開の糸口を見いだすのは容易ではなさそうだ。

疎外感漂う街も

とはいえ、西九州新幹線の沿線では今後、県境を越えた経済的、文化的な関係性が強まる可能性がある。他方、同じ長崎県内でも、当初は新幹線が経由する予定だった佐世保市には疎外感も漂う。県境を越えたつながりと、県境内の新たな距離感を、西九州新幹線はもたらしつつある。

西九州新幹線の各駅

  • 長崎駅の西口外観 長崎駅の西口(いなさ口)
    (筆者撮影)
  • 長崎駅の西口外観 長崎駅の西口(いなさ口)
    (筆者撮影)
  • 長崎県庁の屋上から見た長崎駅 長崎県庁の屋上から見た長崎駅
    (筆者撮影)
  • 長崎駅ビル建設現場 駅ビルの建設現場
    (筆者撮影)
  • 新幹線と長崎市のベルナード観光通り 新幹線開業を祝う垂れ幕やサイドフラッグが並ぶ
    長崎市のベルナード観光通り(筆者撮影)
  • 諫早駅の外観 東口から見た諫早駅(左端)と駅ビル、マンション
    (筆者撮影)
  • 新大村駅の外観 さくら口(東口)からみた新大村駅。
    中央は市章(筆者撮影)
  • 嬉野温泉駅の温泉口 嬉野温泉駅の温泉口(西口)。左奥でホテル工事が進む
    (筆者撮影)
  • 武雄温泉駅外観 武雄温泉駅の南口(御船山口)
    (筆者撮影)
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  • 長崎駅の西口外観
  • 長崎駅の西口外観
  • 長崎県庁の屋上から見た長崎駅
  • 長崎駅ビル建設現場
  • 新幹線と長崎市のベルナード観光通り
  • 諫早駅の外観
  • 新大村駅の外観
  • 嬉野温泉駅の温泉口
  • 武雄温泉駅外観

当面は「早期の全線開業」が地元の目標になるだろう。だが、より重要なポイントは、「新幹線で地域や街をどう変えていくか」、そして「誰がプランを練り、誰が実行するか」を考える営みのように見える。とくに、青森県と並んで全国ワースト級の人口減少・流出に悩む長崎県にとっては「持続可能な地域づくり」への取り組みが急務だ。

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