「教員匿名座談会」で土佐兄弟・卓也が聞いた、超赤裸々な「働き方改革」の実態 校長は不人気?保護者や同僚にも意見あり!

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学校の「周り」を取り巻く人を通じて、学校のあり方を考える本連載。社会人、学者、未来の教員、保護者、学校に通えなかった人―― 彼らの声は、学校の「中」に新しい風を吹き込めるだろうか? 第5回は、お笑いコンビ「土佐兄弟」の兄・卓也さんと、公募で集まった教員3名との座談会を実施。教育現場の働き方改革が進む一方で、教員のなり手不足や部活動の負担など、問題は山積している。教員免許を持ち一時は教員になることも考えたという卓也さんと、現役教員3名の赤裸々なトークを通じて教育現場が抱える問題と解決策を探った。

「スクラップ&ビルド」ができない教員が多い

土佐兄弟・卓也(以下、卓也):今日は集まっていただきありがとうございます。ぜひ、先生方がリアルに感じている教育現場の課題や、仕事のやりがいなどを聞きたいです! よろしくお願いします。

先生一同:よろしくお願いします。

卓也:「教員、忙しすぎる問題」はニュースでもたびたび目にしますが、実際どのような状況なのでしょうか? 学校でも働き方改革が進められているようですが、ぶっちゃけ成果は出ていますか?

A先生

正直、業務量に対してそもそも教員数が足りないので忙しさに変わりはないです。最近はICT教育も始まっており、いずれ軌道に乗れば楽になるのでしょうが、現状はやることが山積の状態。予算も人も増えない中で、社会から現場の物理的なキャパを大幅に超える内容を求められており、パンク状態です。

B先生

文部科学省の試算によれば、現在の教員の勤務実態に応じて残業代を支払うと、額は年間9000億円にも上るそうです。

「職員室に定点カメラを設置して映像を公開したら、涙なしには見られませんよ」と語る先生

卓也:まじっすか! その分タダ働きってことですよね。

C先生 

サラリーマンを経験した身としては、教員の業務は会社員とはまったく異なり、個人的には実質的な負担が大きい感覚があります。授業をプレゼンテーションに例えれば、1回50分間のプレゼンテーションを毎週20数回行うわけです。それに加えて、テスト作成や課題作成、進路の相談や保護者対応などもあります。時間さえあれば働き方を改善したい気持ちはやまやまですが、そこに割く余力が残っていないんです。

B先生

スクール・サポート・スタッフ(教員業務支援員)を採用する学校も増えていますが、実感としてはそのスタッフとのコミュニケーションに時間がかかる。いちいち仕事を教える時間があるなら「自分がやったほうが早い」ってなっちゃうんですよね。

卓也:なるほど、環境が整うまでの段取りを組む余裕もないと。とにかく目の前の業務をこなすことだけで、いっぱいいっぱいという状態なんですね。

B先生

ただ、教員側にも問題があると思っています。校務支援のICTツールをうまく活用すればもっと業務効率化を図れるのですが、教員は「スクラップ&ビルド」の発想が苦手です。とりあえず去年と同じことをしていれば間違いないだろうと考えるので、「これからどうしようか」ではなく「去年はどうだったの?」となるのです。

そのため、ツールの目的もあくまで「従来の業務をどうやりやすくするか」。業務をスクラップせずに新たな仕組みを「ビルド&ビルド」するので、ツールを入れても結局負担が変わらない。例えるなら、デジタル保存できるデータをわざわざ印刷してファイリングしているようなものなので、先生個人の範囲で業務がスクラップできることは知ってほしいです。

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