所得が低い家の子どもから発明家が出にくい理由 両親の所得が子のイノベーション力を左右する

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アメリカのもっと古い時期(1880~1940年)のデータを見ても、やはりJ字曲線が表れている(図2)。

また、フィンランドの1988~2012年のデータ(所得は父親)を見ると、ここでも、父親の所得と特許出願者数の関係はJ字曲線を描いている(ここでは欧州特許庁への出願を指す、図3)。

(出所:フィリップ・アギヨンほか『創造的破壊の力』)
(出所:フィリップ・アギヨンほか『創造的破壊の力』)

フィンランドが教育の機会均等という点でアメリカよりはるかに進んでいることを考えると、同じ相関関係が見られたことは驚きである。

ご存じのとおり、フィンランドでは初等・中等教育の質がきわめて高い。2018年の生徒の学習到達度調査(PISA)では、読解力で79の参加国・地域中7位の成績を誇る。ちなみにアメリカは13位、フランスは23位である〔日本は15位〕。

しかもフィンランドの教育制度は幼稚園から博士課程に至るまで完全に無料だ。したがって貧富を問わず誰でも受けることができる。

次ページJ字曲線になる2つの理由
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事