フィンランドが「IT大国」になった予想外の理由 地理的理由から考えるIT産業発展のワケ
フィンランドのような高緯度に位置する国では、オーロラが観られます。このオーロラが発生する電離層の研究が、後に無線通信の周波数帯の研究へと発展していきました。こうして産官学協同でハイテク産業の拠点として成長し、ここへノキアが拠点を求めてやってくるわけです。
2006年にはノキアの携帯端末販売台数が世界シェア41%を占めるほどになり、2008年までの直近10年間、フィンランド経済の成長のおよそ25%はノキアが牽引したといわれています。こうしてオウル市はノキアの企業城下町へと発展していきますが、アップルのiPhone発売以降は徐々にシェアを低下させ、ついに携帯端末事業はマイクロソフトに売却しました。
技術者たちが離職後、それぞれ起業家に
「ノキアショック」をきっかけに技術者たちが離職して、それぞれが起業家となって「北欧のシリコンバレー」と呼ばれるようになっていきます。
「携帯端末事業をマイクロソフトへ売却」という事実を「事業の失敗」と捉えるのか、「新しい時代の流れに乗って、進化するチャンスを得た」と捉えるのか、まさしく「正解は自分で決める!」が如く、フィンランド国民は「失敗は成功のもと」と前向きに捉える向きがあるようです。
「企業の誘致」「起業の支援」「国際化の波に乗る」、こうしたことに本気で取り組んでいるのがフィンランドといえます。現代を生きている人が不自由な思いをするほどに守らなければならない伝統なんてものは、伝統とはいいません。状況に応じて、幸せになるためにルールは適宜作り変えていくべきなのであって、決してルールを守ることが目的になってはいかんということです。
フィンランドでは、産官学協同の強みを見ることができます。わが国でもそういった取り組みが行われているかとは思いますが、あまりにも閉塞感が漂っており、大人たちは口を開けば「日本はダメになっている」などと悲観的なことばかり言っているわけで、それを聞いた子供たちはどう思うのかと考えてしまいます。
時代の潮流を読むことの重要性を強く感じます。ネクスト・シリコンバレーにフィンランドのオウル市を推す声に、多くの人が異論を唱えることはできそうもありません。
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