「悪質なブリーダーを排除できず」法改正の問題点 「数値規制」より「資質」で精査すべきではないか
このように次々に法の抜け道を考え、「転んでもただでは起きない」のが、悪質なブリーダーなのです。
日本はブリーダーになるハードルが低すぎます。本来の意味のブリーダーとは、心からほれ込んだ犬種・猫種の特性を理解し、その血統や遺伝にも詳しく、飼育環境に気を配り、健康管理を怠らない、子犬・子猫を譲るときには自ら飼い主を選択するなど、愛情と責任を持って血統をつないでいく人たちのことを指します。
そこから逸脱したブリーダーが、目に余るほど存在しているのが日本の現状です。
前述したように「数値規制」は悪質なブリーダーを排除する1つの要素でしかありません。たとえ自治体が監視の目を強化しても、法の抜け道を考える悪質なブリーダーとのいたちごっこで、排除には限界があります。筆者は真に精査しなければならないのは「資質」だと考えます。
簡単にブリーダーになれる日本
現在、ブリーダーになるには、第一種動物取扱業の登録とともに動物取扱責任者の要件を満たす必要がありますが、例えば、半年以上の実務経験(または1年以上の飼養経験)と指定された認定資格さえあれば、誰もが簡単にブリーダーとして業を営むことができます。
認定資格は1日で取得できるものもあり、ブリーダーに見合う内容ではありません。「命」を生み出し継ぐ役目をまっとうするには、犬や猫に対する深い愛情と責任、卓越した知識と経験を兼ね備えていることが必須です。現状の登録と要件では、それらを問うことや専門知識を身に付けたりすることはできません。
今年5月1日に愛玩動物看護師法が施行され、動物看護師が国家資格となりました。筆者はブリーダーも同等の仕組みが必要だと考えます。
「愛情」と「責任」を啓蒙し、ブリーダーに必要な知識と技術を学べる教育機関と、ライセンス制度の構築が望まれます。犬や猫の尊い命を守るためには、必要不可欠な案件と考えています。
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