バブル期を超える勢いも「不動産価格高騰」の正体 コロナウイルスが生み出した新たな需要の背景

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コロナ禍で不動産市況はどう変わったのでしょう。専門家が解説します(写真:yama1221/PIXTA)
世界中にパンデミックをもたらした新型コロナウイルス感染症は、いまだ終息にはいたっていません。一方で、いっときの緊急事態宣言のような行動制限はなくなった今、経済活動はコロナ前に戻りつつあり、不動産の取引もコロナ前の活気を取り戻してきました。
とくに、東京都心の不動産価格はバブル期を彷彿させるような高騰ぶりです。こうした背景を踏まえて、コロナ禍で不動産市況はどう変わったか探ってみます。

新型コロナの感染が拡大し始めた頃は、先行きがまったく見えない状況で不動産市況も落ち込みました。

ホテルや旅館といった宿泊施設ではインバウンド需要が皆無になり、緊急事態宣言の発出でオフィスへの出社回数が減ったことでオフィス需要が減少。当時、不動産への投資対象は難しい局面を迎えるのではないかとささやかれ、多くの不安材料がありました。

“職住近接志向”は低下傾向

一方で、コロナ禍では働き方に変化が生じました。リモートワークが一般的になった結果、住まいに対する考え方も変わり、コロナ前の、いわゆる“職住近接志向”は低下傾向に。“通勤も“できる程度の距離に新たな住まいを求め、生活インフラが整っている地域へ新たに居住地を移すという流れができました。

さらにリモートワークにより、共働き世帯や子育て世帯は住宅に広さを求めるようになりました。都心で住宅の広さを求める場合、「都内のタワーマンション→郊外のマンション→戸建て」といった流れで需要が増えていきます。

例えば、オリンピック選手村跡地の晴海フラッグは都営大江戸線の勝どき駅から徒歩20分前後もかかるため、利便性ではマイナス面があるものの、2LDKから4LDKまでの広めの設計でかつ、7000万円台から9000万円台という価格帯と近隣のタワマンと比較すると安いことから、人気の物件となっています。

また、リモートワークが可能な仕事であったり、リモートワークのできる企業に勤めていたりすることが前提にはなりますが、東京近郊の近県(新幹線で1時間程度の距離にある宇都宮、高崎、小田原、熱海、三島など)での居住、もしくはそれらの地域と都心での2拠点生活といった住まい方をする人たちも出てきました。

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