そしてもう1つが水の補給だ。SLは石炭をたき、水を沸騰させて発生した蒸気の力で走るため、水は運行に不可欠だ。石炭については、ロンドン―エディンバラ間を無停車で走るのに必要な分を何とか搭載できたが、水は満載しても600km超の分には満たない。そこで、レールの間に水を貯め、そこから走行中に水をすくう「ウォーター・スクープ」と呼ばれる方法を採用した。そんな涙ぐましい努力を行い、途中停車なし、所要約8時間という当時としては画期的なスピードで走ることができたのだ。
優等列車として走っていた時代の最高時速は173kmだが、現状で許可を得ている最高時速は120kmだという。展示が終わったら、本来の保管場所である博物館のあるヨークに自走して戻る予定も組まれていた。
世界の鉄道「周年」行事の楽しさ
日本の鉄道150周年に前後して、欧州ではもう1つ興味深いイベントが行われた。スイスの鉄道が開業175周年を迎えるのを記念して、「氷河急行」などの観光列車運行で知られるレーティッシュ鉄道は10月29日、実に100両もの電車をつなげて本線上を走らせるという大イベントを行った。旅客列車としては世界最長となる全長1.9kmに及ぶ車両を連ね、ループ線を降りてくるさまは壮観だった。
日本に限らず、各国の鉄道では周年記念に合わせて、普段では体験できないさまざまなイベントが催される。旅の思い出と共に「こんなことは一生で一度」という機会に恵まれたらきっと幸せなことだ。
「フライング・スコッツマン」とキングスクロス駅開業170周年
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1923年製のSL「フライング・スコッツマン」
(筆者撮影)
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スワネージ鉄道に乗り入れた「フライング・スコッツマン」
(筆者撮影)
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磨き上げられたダークグリーンの車体
(筆者撮影)
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スワネージ鉄道のSLと並ぶ「フライング・スコッツマン」
(筆者撮影)
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「フライング・スコッツマン」の運転室
(筆者撮影)
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「フライング・スコッツマン」の運転室内
(筆者撮影)
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メーターはマイル表記だ
(筆者撮影)
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最高時速75マイルの表記
(筆者撮影)
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運転室内のハンドル類
(筆者撮影)
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運転室内の機器類
(筆者撮影)
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炭水車には通路が設けられている
(筆者撮影)
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炭水車の通路。かがまないと通れない
(筆者撮影)
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スワネージ鉄道ではかつての有名列車「デボン・ベル」の
展望車も牽引した(筆者撮影)
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「デボン・ベル」の展望車。細い窓の内側にはパブがある
(筆者撮影)
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「デボン・ベル」の展望車。「プルマン」の紋章が誇らしげ
(筆者撮影)
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1947〜54年に優等列車に連結されていた。
車内は古さを感じさせない(筆者撮影)
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「デボン・ベル」展望車の後部に設けられたパブカウンター
(筆者撮影)
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客車内のカウンター側から見た室内
(筆者撮影)
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客車最後部は展望室だ
(筆者撮影)
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開業170周年のキングスクロス駅
(筆者撮影)
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「フライング・スコッツマン」誕生100年を祝うパネル
(筆者撮影)
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「フライング・スコッツマン」誕生100年を祝うパネル
(筆者撮影)
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キングスクロス駅170年と「フライング・スコッツマン」
誕生100周年を祝うロゴが並ぶ(筆者撮影)
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キングスクロス駅の歴史を示す「プラーク」。
1852年の年号が刻まれている(筆者撮影)
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ヨーク駅に停車する「あずま」。同駅隣接の鉄道博物館が
「フライング・スコッツマン」を保存している(筆者撮影)
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エディンバラ駅に停車する「あずま」
(筆者撮影)
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「フライング・スコッツマン」のルートを走る現在の主力
(筆者撮影)
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Motomi Sakai
旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com
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