総額1000億円、西武HDが攻勢「所沢再開発」の勝算 球場、遊園地、大型商業施設など投資相次ぐ

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所沢駅の東口
西武鉄道の所沢駅。駅ナカ商業施設「グランエミオ所沢」に続き、西口で大規模なプロジェクトが動き出した(記者撮影)

埼玉県所沢市はさいたま市、川口市、川越市、越谷市に続く県内第5の都市だ。最新(9月末時点)の人口は34万4253人で、越谷市(34万4280人、10月1日時点)にわずかながら劣る。総務省の「住民記帳台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によれば、かつては川越市や越谷市の人口を上回っていたが、2011年に川越市、2020年に越谷市に抜かれてしまった。

埼玉県の人口は2022年に減少に転じたが、所沢市の人口は県より早い2020年に減少を始めた。所沢市の魅力を高めて市内への転入者を増やすとともに、市外への転出を食い止めないと、市の人口はますます減ってしまう。

所沢駅西口で巨大プロジェクト

市の魅力を高めるためには民間活力の導入も欠かせない。西武ホールディングス(HD)は所沢駅を再開発し、2018年から2020年にかけて商業施設「グランエミオ所沢」を開業したほか、2021年には埼玉西武ライオンズの本拠地「ベルーナドーム」や西武園ゆうえんちのリニューアルを行った。また、KADOKAWA(カドカワ)はクールジャパンの発信拠点と位置付ける「ところざわサクラタウン」を2020年にオープンしている。

そんな中で、所沢駅の西口で巨大プロジェクトが動き出した。

西口にでんと構える専門店ビル「ワルツ所沢」にはメインテナントとして西武所沢S.C.が入居する。そのワルツの裏側に3万4000平方メートルという広大な土地が広がる。かつて、この土地には西武鉄道の車両工場があり、同社向けの電車の製造や改造などが行われていた。

車両工場は2000年に閉鎖され、その跡地の活用法について関係者の間で協議が重ねられてきた。そして、「所沢らしさ」をアピールできるような整備を行うという方針のもと、大型の商業施設を建設することが決まった。10月28日に行われた起工式に出席した所沢市の藤本正人市長は「駅前で行われる最後の大規模案件。人と人をつなげる拠点になることを切に願う」と期待を述べた。開業予定は2024年秋だ。

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