総額1000億円、西武HDが攻勢「所沢再開発」の勝算 球場、遊園地、大型商業施設など投資相次ぐ
新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークや在宅勤務といった新しい仕事の形も生まれた。そのため、テレワーク施設などについても、「潜在的な需要は強く、検討しなくてはいけない」(住友商事商業施設事業部の白石幸成部長)という。
西口の新たな商業施設、ワルツ所沢、グランエミオ所沢は歩行者デッキで結ばれる。つまり、これらの商業施設は競争相手ではなく、お互いに補完し合う関係となる。それだけにグランエミオよりも広域の商圏を想定する。
越谷市で人口が増加した理由の1つに2008年に街開きした「越谷レイクタウン」の存在がある。このエリアの居住人口は2万人を超え、市全体の人口は微減傾向にある中で気を吐いている。その越谷レイクタウンの目玉が「自然との共生」をテーマに掲げる国内最大級のショッピングセンター「イオンレイクタウン」。コロナ禍前には関東一円から年間5000万人もの集客を誇った。
西武HDと所沢は“運命共同体”
もっとも、新たな商業施設のコンセプトを見る限りでは、西武HDが目指すのはイオンレイクタウンよりもテラスモール湘南に近い。巨大さを売りにするのではなく、地域らしさを売り物とする。
コロナ禍で業績が悪化し、西武HDの財務状態は盤石とはいえない。資金確保のためホテル資産を売却して財務の立て直しを急ぐ。そんな中でも同社は所沢エリアを重要拠点と位置づけ、開発の手を緩めない。グランエミオの建設、ベルーナドームや西武園ゆうえんちの改修、さらに駅舎のリニューアルやホームドア等の設備投資も合わせると所沢エリアに1000億円近い投資を行う計算だ。
所沢市にとっても西武は市の魅力向上に欠かせない存在であり、所沢市が衰退すれば西武HDも沈没しかねない。両者はまさに運命共同体だ。それだけに今後明らかにされる施設の概要には要注目だ。
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