東北電力は原発4基の停止、太平洋側の火力設備被害で供給力不足懸念。被災地以外で計画停電実施へ【震災関連速報】
東北電力は東日本大震災により、原子力発電所や一部火力発電所の停止、および送電設備の被害など、広範囲で被害を受け、電力需給が逼迫した状況となっている。そのため、同社では、産業用の顧客を中心に、節電への協力要請を出すと同時に、本日3月16日から18日まで3日間の計画停電の実施を発表した。
東北電力では、女川(宮城県牡鹿郡女川町)に3基、東通(青森県下北郡東通村)に1基の計4基の原子力発電所を持つ。今回の地震発生時点で、女川1、3号は営業運転中、同2号は定期検査明け直後(11日14時に起動)、東通1号は定期検査中だったが、地震を受けて全4基すべて運転を停止した。女川発電所は津波の被害も大きく設備の損傷もあったもようだが、東電・福島第一原発の事故の原因となった原子炉の冷却装置などは正常に機能し、低温停止状態だという。
女川町では津波の被害が甚大で多数の死傷者が出ている。女川原発も津波の影響で道路交通網が遮断され、一時孤立していたが、協力会社を合わせた作業員約2000人は1人の軽傷を除いて無事が確認された。「支援物資などは十分とはいえない状況だが、現地で点検作業などを続けている」(同社広報)という。
原発にとどまらず、太平洋側にある八戸、仙台、新仙台、原町などの火力発電所が停止(八戸はその後起動に向け準備中)。変電設備、送電設備の被害件数も多い。
東北電力では、日本海側の秋田、能代などの火力発電所や水力発電所をフル活用するほか、他の電力会社からの応援融通により供給力を補う構えだが、被災地の復旧が進むにつれ電力需要も増加が見込まれるため、供給力不足の長期化が懸念される。
当面の供給力確保のため、東北電力では3月16日から18日までの3日間、計画停電の実施を決めた。3日間の需要を1050万キロワット程度、供給力を970万キロワット程度と想定。被害の大きかった岩手、宮城、福島、青森の一部を除く供給区域を50万キロワットずつのグループに分け、午前9時~12時、および午後17時~20時の各3時間、需給状況に応じてグループを組み合わせて計画的に停電する、というもの。
ただ、初日に当たる16日は、供給面では(1)降水による出水で水力発電所の供給力の増加、(2)全国融通受電が決まったこと、需要面では(1)電力需要の復興の遅れ、(2)節電協力の効果により、停電の実施は中止となった。
(勝木 奈美子 =東洋経済オンライン)
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