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Netflix広告付き新プランで「日本のTV壊滅」の訳 「終わりの始まり」を「変わりの始まり」にできるか

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  • 鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表
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テレビの業界構造を眺めると、ネットフリックス、Disney+、U-NEXTなどのコンテンツ配信企業の収入と地上波テレビの広告収入を比較すると実に4倍の市場規模の違いがあります。優秀なコンテンツを制作できる企業は広告収入を選択したほうが本当はいいのです。

はじめのうちはネットフリックスでは高いプランから安いプランへの切り替えがおきたり、新規の加入者は安い広告プランばかりになったりといった現象が起きて、それをメディアが鬼の首をとったように騒ぎ立てるでしょう。しかし広告プランの加入者が増えれば増えるほど、広告媒体の市場ではネットフリックスは「強い媒体」として認識されるようになります。

するとどうなるでしょう? 私の予測ですが、ネットフリックスの広告付きプランが成功し始めた場合、ネットフリックスは広告付きプランの料金を下げるはずです。「成功したら」とう条件付きの予測ではありますが、次の段階ではおそらく490円、最終的には月額290円ぐらいで広告付きプランを売り始めるはずです。そうなったとき、テレビが「死」を感じ始めるタイミングにもなります。

国によって価格差を変えて動向を観察中

これはあながち間違った予測だとは思いません。実はアメリカではベーシックプラン9.99ドルに対して広告付きプランは6.99ドルで開始しています。今の価格は国によって価格差を変えていて、あくまでテスト販売として動向を観察中の価格なのです。

そして当たり前のことですが、加入者が増えれば増えるほど広告媒体としての力が増し、収益性が加速することがわかれば、広告嫌いのヘイスティングスCEOでも広告事業により大きな力を入れることになるはずです。

さて、そんなことが起きたら、ただでさえ市場が縮小している日本のテレビ市場はいったいどうなるのでしょうか。

日本のテレビ広告の市場は長年にわたって少しずつ縮小する傾向があって、それが制作現場のコスト削減につながり、ひいては「番組がつまらなくなる」という悪循環のサイクルを生み出してきました。

そのテレビ広告市場をネット広告が追い抜いたのが2019年です。マス、つまり大衆にしかリーチできないテレビ広告と違い、ネット広告はターゲティングできるのが強みです。実際に高い効果を実感できることからネット広告市場は拡大が続きました。この事実がグーグルやメタ(フェイスブック)といったアメリカの大手IT企業の成長を促したわけです。

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【ここで視点を変えてみると…】

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