Netflix広告付き新プランで「日本のTV壊滅」の訳 「終わりの始まり」を「変わりの始まり」にできるか

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ちなみに、ネットフリックスのオリジナル番組にはもともとCMを入れるタイミングが設計されていないため、番組の流れがCMで途切れるのではないかという不安がありました。私が観たかぎりでは、今のところこの点がうまくマネージできたようです。

おそらくAIなどを駆使して大量にあるコンテンツそれぞれのいちばんCMを入れやすいポイントを自動判別できているのでしょう。話の途中でブチ切れるように広告が入るYouTubeと比較するとかなり洗練されたCMの入れ方に感じられました。

1490円のプランから広告付きプランにスイッチ?

さて、この790円広告付きプランの登場でネットフリックスの加入者はどう動くのでしょうか。

これまでのネットフリックスの加入者は大きくいうと、3つあるうちの2つのプランのどちらかを選んでいたはずです。1つはスマホで観る月額990円のプランで安い代わりに画質はSD品質でした。もう1つは大画面テレビでHDクオリティの画像を観る1490円のプラン。私は現在の加入者が広告付きプランにスイッチするとしたら、この1490円のプランに加入している層になるのではないかと思いました。

理由は今回から低価格プランの画質がHD画質にアップしたことです。大画面でド迫力な映画やオリジナルコンテンツを観るのであれば1490円コースのほぼ一択の選択肢しかなかったのですが、それがHD画質での新しい選択肢が増えたわけです。

昨今の値上げラッシュで、食費も電気代も上がってしまい家計の節約を考えている家庭ではスタンダードプラン1490円から広告付きプラン790円に一気に変更する世帯が一定数出てくるのではないでしょうか。

「そうなるとネットフリックスは逆に収入が減ってしまうんじゃないのか?」

と思うかもしれませんが、実はここが面白いところです。コンテンツを配信するよりも広告を配信したほうがビジネスとしては儲かるのです。

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