3期目入り習近平「強気外交」に見え隠れする本音 欧米や日本との関係修復へ動く可能性が高まる

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10月に開かれた中国共産党大会の活動報告からは、習近平指導部が国際社会の分断や陣営対立を強く意識していることが伝わった(写真:Bloomberg)

第20回党大会で習近平総書記の3期目入りを決めた中国は、早速、外交を活発化し始めている。11月初めから、タンザニア大統領、パキスタン首相、ドイツ首相の訪中が続いている。11月中旬にインドネシアで行われるG20首脳会議における米中首脳会談の可能性も取り沙汰されている。

3期目に入った習近平の中国はどのような外交を展開することになるのだろうか。党大会の開会式で習近平が行った活動報告から、中国外交の方向性を考えたい。

まず、今回の報告からは、中国が、国際社会の分断や陣営対立を強く意識していることが分かる。

5年前のスタンスとは大きな違い

5年前の報告では、「テロやサイバーセキュリティ、重大な伝染病、気候変動といった非伝統的な安全の脅威が続いており、人類は多くの共通の挑戦に直面している。単独でこれらの挑戦に対応できる国はない」といい、グローバルな課題に国際社会全体で取り組むべきであるとした。

今回の報告には、そのような国際社会全体で課題に立ち向かうという一体感は見られない。むしろ、世界を覆う問題は「いじめや略奪、ゼロサムゲームといった覇権的な行動」、「平和、発展、安全保障における負債」だという。

直前の9月に行われた国連総会一般討論演説で多くの国が国際社会の課題として指摘した、テロや気候変動、食糧危機、コロナからの経済復興等への言及もなかった。そして、人類は課題に共に立ち向かうべきと言うのではなく、世界の行く末は各国人民の選択に委ねられているのだと突き放している。

コロナウイルスの起源調査に端を発した民主主義対権威主義、ロシアのウクライナ侵攻を契機とした欧米とロシアとの対立。一体感とはほど遠く、分断され、価値対立的な国際情勢を真正面から受け止めているのだろう。


 第2に、報告では、そのような分断された国際社会での「相手側」に対する中国の「反対」が連発されている。

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