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「攻めと守り」のバランスに悩む習近平外交の急所 「戦狼」一辺倒では経済発展できない現実に直面

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3期目の習近平政権が本格スタートしました。イラン・サウジアラビア和平への関与、ロシアとの首脳会談など外交も活発化。欧米との対立が厳しくなる中、中国は経済発展のための環境を確保するために必死です。習近平外交の今後を、昨年まで対中関係の第一線にいた専門家が読み解きます。

欧米中心の国際秩序に自らの影響力を拡大させるため、ロシアとの協力は中国に不可欠だ。だが現実には、ウクライナ情勢をめぐり中ロ関係は難しくなっている(写真:時事)

3月上旬、中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が開かれ、中国共産党の習近平総書記は予定どおり3期目の国家主席に選出された。党と国家の両方で3期目の習近平政権の体制が固まった。3期目の習近平外交とは、どのようなものになるのだろうか。

現在の中国の最重要課題は経済発展である。経済発展は共産党統治の継続の大前提である。そして、成長した中国経済の更なる発展には、先端技術やデータ、AIといった高いレベルの科学技術と、それらを使いこなす人材が必要である。

対外関係の改善に動く中国

しかし、近年の攻撃的・強権的な中国外交により、欧米諸国を中心に、中国企業が特定市場から排除されたり、中国向けの重要物資や先端技術の供給が制限されたりして、経済成長の足を引っ張っている。それでなくても、ここ数年の厳格すぎる防疫措置等によって内需が停滞し、中国経済は低迷している。昨年の中国は、成長率目標を大きく下回る3%成長しかできなかった。

昨年10月の党大会は、国と党の第一の課題は「質の高い発展」だと明確に指摘している。党大会後以降の中国は、欧米諸国を中心に対外関係の改善に努めている。アメリカとの関係では、昨年11月の首脳会談以降、毎月のように閣僚級の対話を続けた。

今年2月の気球事件はあったが、ミュンヘン安全保障会議の場で外交担当トップの王毅・中央政治局員がアメリカのブリンケン国務長官と「非公式な接触」をし、全人代終了直後に秦剛・国務委員兼外交部長(外相)がアメリカの企業家と会談するなど、対米関係をマネージする姿勢は変えていない。

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