中国が広島サミットの共同声明に猛抗議した理由 習近平は国際秩序めぐる主導権争いを加速する
G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)の陰の主役は中国と言われていました。共同声明では中国に対するG7の団結した姿勢を示し、これに中国は猛反発。垂秀夫・在中国日本大使を呼び出して抗議しました。異例のことですが、中国はなぜそこまで怒ったのでしょうか。
G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)の陰の主役は中国と言われていた。共同声明は昨年の1ページ半から増やし、2ページを使って中国に対するG7の団結した姿勢を示した。中国との建設的・安定的関係や中国への関与をまず打ち出し、そのうえで中国の課題・問題点を指摘しており、中国への一定の配慮が感じられる。
特にG7の対中政策は中国を害したり中国の経済的進歩や発展を妨害したりすることではないと明記し、中国の最優先課題である経済成長への配慮を示している。
その中国はG7サミットの直前に「中国・中央アジアサミット」を主催し、中央アジア5カ国と首脳会議を行った。G7サミットが始まると、共同声明の内容に中国は反発し、垂秀夫・在中国日本大使を呼び出して抗議した。
そのうえで、大使への抗議を公表した。中国はなぜ、G7サミットの直前に中央アジアとの首脳会議を行ったのか。そして、なぜ中国はG7サミットへの抗議を対外公表したのか。
中国・中央アジアサミットをぶつけて開催
5月18日から19日まで、中国は北西部の陝西省西安で「中国・中央アジアサミット」を行った。G7広島サミットの開始は19日であり、G7を意識したのは明らかである。
習近平国家主席が主催し、中央アジアから、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国の首脳が参加した。G7と同様に、首脳会議だけでなく首脳の配偶者も加わった文化行事を開催し、成果文書として共同宣言などを発表した。
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