「昼前や夕方に低血糖になる理由として考えられるのは、炭水化物などのドカ食いです。健康な人であれば炭水化物を多少たくさん食べたからといって、次の食事の前に低血糖になることは普通ありません。肥満があってインスリンが効きにくくなっていて、遺伝的、体質的な要因でインスリンが遅れて出てくる人では、血糖値が下がってからもたくさんインスリンが出続けてしまって次の食事の前に低血糖が起きてしまうことがあります」(植木さん)
低血糖になると、“夕方になるとイライラする”とか、“食事の前にお腹が空いて、やたら甘いものを食べたくなる”などの症状が現れる。心当たりがある人で、肥満だったり、家族に糖尿病の人がいたりする場合は、一度、内科などで血糖値の検査を受けたほうがいいと、植木さんはアドバイスする。
検査ではインスリンの量も調べておく
このとき、どんな検査を受けたほうがいいかも知っておこう。
血糖値を調べる検査にはいくつかあるが、植木さんが勧めるのは、「ブドウ糖負荷試験」というもの。これは一般的な健康診断では項目に含まれておらず、人間ドック(オプションのことも)や一般の診療で行われている検査だ。
ブドウ糖負荷試験とは、75gのブドウ糖を含む飲料を飲み、その直後、30分後、1時間後、2時間後の血糖値を測る(30分後を測らないケースもある)。これによってインスリンがブドウ糖にしっかり反応して出ているかどうかがわかる。
「医療機関によっては、血液中のインスリンの量も測ってくれます。できれば血糖とインスリンの両方をみておいがほうがいいでしょう」(植木さん)
血糖値が高いと診断された場合のセルフケアや、食後血糖の是非については、後編で紹介する。
(取材・文/山内リカ)
この記事の続き:【血糖値】平気で丼物食べる人に起こる悲劇
植木浩二郎医師
1987年東京大学医学部卒業。ハーバード大学医学部Joslin糖尿病センターに留学。東京大学医学部附属病院特任教授など経て、2016年より現職。インスリンの作用メカニズムやインスリン分泌不全のメカニズムの研究、また糖尿病の大規模臨床研究などに関わる。日本糖尿病学会専門医・研修指導医。
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