JR西日本「自動運転・隊列走行BRT」実際に使えるか 鉄道の閑散線区でそこまでの性能は必要ない?
細かい雨が降りしきる中、連なった3台のバスがこちらに向かってきた。連節バス、大型バス、小型バスの3台。それぞれのバスには運転士が座っているが、ハンドルに軽く手を添えているだけで運転はしない。これらのバスはJR西日本とソフトバンクが開発中の「自動運転・隊列走行BRT」という新しい交通システムである。10月17日、滋賀県野洲市にあるJR西日本のテストコースで報道陣に公開された。
BRTは「Bus Rapid Transit(バス高速輸送システム)」の略。バスが専用の道路を走ることで交通渋滞を回避し、速達性と定時運行を確保する。国内のBRT導入例では使われなくなった鉄道の線路跡地にバス専用道を設置する例が目立ち、JR東日本の気仙沼線・大船渡線BRTや2023年7月に運行開始予定のJR九州の日田彦山線BRTがそれに該当する。
複数台のバスが連なって走行
JR各社では、JR東日本がBRTの自動運転で先行する。気仙沼線BRTは2018年から自動運転の実証実験を行っており、今年12月からは一部の区間、一部の時間帯において営業運転に踏み切る。また、JR九州の日田彦山線BRTは環境に配慮して電気バスも導入するなど、各社各様の取り組みを行っている。
そんな中でJR西日本が目指すのは、自動運転と隊列走行の組み合わせである。
ソフトバンクをプロジェクトマネジャーに迎えて開発するのは、ドライバーレスの自動運転、かつ1台でなく複数台が連なった隊列走行。ドライバーレスといっても無人運転ではない。隊列走行時は先頭車に運転士が乗り込み、乗降口の安全確認、ドアの開閉、車内アナウンス、不測の事態が起きたときの緊急停止などを行う。何も問題がなければ運転操作をしないが、異常時には手動で運転する。
後続の車両は無人で運行する。将来的には先頭車も無人にすることも視野に入れて開発を進める。なお、今回の報道公開では安全確保の面からどの車両にも運転士が乗っていた。
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