全国から注文が殺到する「フクイのカレー」の秘密 注文は電話かメール、手書きのお礼状が同封

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32歳のときに故郷である豊橋市に戻った。3年ほど飲食関係の会社で働いた後、今までの料理経験を生かしてカレーの製造販売を思い立った。当初は知り合いを中心に販売していたが、評判はボクシング界から広がった。

「フクイのカレーを購入したボクシング雑誌の編集部の方が雑誌で度々取り上げてくれたり、当時日本チャンピオンだった山中慎介さんに届けてくれたりしました。それが縁となって、山中さんはWBC世界バンタム級王者となってからもずっと注文してくれています」(福井さん)

山中慎介氏(写真左)とは東日本大震災のボランティアでも共に活動した(写真:福井さん提供)

山中氏はよほど気に入ったのか、週刊誌でもフクイのカレーを紹介してくれた。筆者の手元にある記事には、日本王者から世界戦に至るまで、試合の1カ月ほど前の、明日から減量がはじまるという夕食には皿がピカピカになるまで味わい尽くすのがルーティーンであることが書かれている。これも大きな起爆剤となった。

気になるレシピは?

世界王者をも魅了するフクイのカレーのレシピについて福井さんに尋ねてみた。大きめにカットした玉ネギを2、3時間、ペースト状になるまで炒め、一晩寝かせてから使用し、計2日間かけてカレーを仕上げるていることと、スパイスのほかに隠し味として東北の味噌と醤油を加えていること、季節に応じてキャベツや大根、ブロッコリー、小松菜、ホウレン草など家庭のカレーには入れないような野菜も使っていること。そこまでは話してくれたが、あまり詳しく聞いてほしくなさそうだったので遠慮した。

「それら野菜や果物、香辛料や調味料を合わせると20種類以上、すべての食材はどこでも手に入るものです。ありふれたものでおいしく作るのも料理人の仕事だと思っています。何度も改良を重ねて今の味にたどり着きました。それでもまだ作るたびにこれでよいのかと自問自答しています。これからもおいしいカレーを追求していきます」(福井さん)

話を聞いていて、正直、レシピなんてどうでもよいと思った。なぜなら、福井さんの誠実な人柄とカレーに対するひたむきな姿勢こそが、フクイのカレーのスパイスだからだ。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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