全国から注文が殺到する「フクイのカレー」の秘密 注文は電話かメール、手書きのお礼状が同封

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フードライターとしてカレーはこれまで数えきれないほど食べてきたが、フクイのカレーは間違いなく5本、いや、3本の指に入る。こうして味を思い出しながら書いているとまた食べたくなってくる。

料理は人柄を表すと筆者は思っている。丁寧なメールの返信からはじまり、丁寧に梱包されたカレー、心のこもったお礼状、そして、一度食べたら忘れられないカレーの味。そこから福井さんの人柄が伝わってくる。同時に、広告を出さなくても、SNSで拡散しなくても全国から注文が殺到する理由がわかった。皆、福井さんのファンなのだ。

カレーを食べて、筆者もますます福井さんのファンになってしまった。どうしても会って話を聞いてみたくなり、コンタクトを取ると快諾してくれた。福井さんが暮らす豊橋市へ向かった。

19歳で念願のプロデビュー

福井さんは1966年1月生まれの56歳。具志堅用高氏の世界チャンピオン防衛戦を見てボクシングに興味を持ち、17歳のときにボクシングジムへ通って練習をはじめた。

「親にはボクシングのことを内緒にしていました。ジムの費用はアルバイトで捻出していました。将来はプロボクサーになりたいと思い、住み込みで練習生になれるという東京の金子ボクシングジムの雑誌広告を見つけました。高校を卒業したらプロをめざそうと意気込んでいたのですが……」(福井さん)

福井英史さん(筆者撮影)

ところが、卒業間際になって、合宿所に入るにはある程度のキャリアが必要であることを知り、計画が大幅に狂ってしまった。

とはいえ、周りには東京へ行くことを伝えているし、何よりも福井さん自身はどうしても東京行きを諦めたくなかった。そこで、親や学校には「料理人になる」と言って、寮完備のレストランに就職することにした。

「勤務時間は一応、朝10時から翌朝2時までの間で交代勤務、実働8時間ということになっていました。しかし、当時の飲食業界というのは、そんな甘いものではなくて、朝8時から夜10時という勤務もよくありました(笑)。その中で、仕事を早くあがれた日や休日、夜勤前の時間にジムへ通って練習しました」(福井さん)

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