全国から注文が殺到する「フクイのカレー」の秘密 注文は電話かメール、手書きのお礼状が同封

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セントラルキッチンで調理したものを温めるだけの、現在のファミレスと違って、当時はドレッシングやホワイトソース、プリンなど、ほとんどのメニューが手作りだった。とくにカレーはたっぷりの野菜を炒めて、肉もゴロゴロと入っていた。しかし、これも現在とは異なり、従業員が店の料理を賄いで食べることはできなかった。

「当時の賄いは、さつま揚げを焼いて“さつまステーキ”とか(笑)、非常に簡単な物が多かったですね。会社の方針なのか、お店の料理を賄いで食べるということはありませんでした。いつもより仕事が早く終わったある日、料理長に『メシ、食っていけ』と、カレーを食べさせてもらったんです。それが本当においしくて。カレー作りの原点になっています」(福井さん)

現役時代の福井さん(写真:福井さん提供)

この頃、福井さんはアマチュアの試合にも出場し、3勝1敗という成績を残している。ジムに入門して1年が経った19歳のときにジムのマネージャーからプロテストを勧められ、念願のプロボクサーとなった。

朝のロードワークから始まり、アルバイトが終わったら練習に明け暮れた。試合に向けてストイックに自分自身を追い込んだ。また、当時のファイトマネーはチケットの売り上げで賄われるため、知り合いを頼りにチケットを売り歩いた。

お礼状を出す習慣はこの頃から身についた。ジムの会長から書くように言われて、見よう見まねで書くと、チケットを買ってくれた人が2度、3度と試合に来てくれた。

プロボクサーとして活動したのは、23歳までの4年間と、途中ブランクを挟んで25歳で引退。戦績は5勝5敗1分け。

「テレビや漫画の中だと思っていたボクシングの世界に自分がいるのが嬉しくて、それが練習する原動力になりました。とことん自分を追い込んで、もうこれ以上できないというところまでやったので悔いはありませんでした」(福井さん)

「お店の基本は掃除」

引退後は、飲食店で働いた。リングから厨房へと活躍の場が変わってもボクシングで学んだことが生かされた。とくに同じプロボクサーから高級フレンチ「ヌキテパ」のオーナーシェフになった田辺年男氏から言われたことが心に響いた。

「お店の基本は掃除。ボクシングでは手の皮が剥けるまで練習しただろ。手の皮が剥けるまで床を磨いて、窓を拭いて汗を流して掃除をしなさい。ボクシングと同じことをやっていれば第2の人生で失敗するはずがない」

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