企業が食指を動かす「無人AIアバター」本当の実力 「メタバース」の商業利用を考える人々の思惑

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2022年8月30日、音声認識技術AmiVoiceを用いたサービスを提供しているアドバンスト・メディアの株価が急騰した。同社が発表したAI音声対話アバター「AI Avatar AOI(エーアイ アバター アオイ)」の開発発表を好材料と見て、市場が反応したものと思われる。

このAI音声対話アバターは、ワールド内のショップスタッフなどメタバースでの接客を24時間365日休みなく行ってくれる無人アバター技術だ。近くにいるほかのアバターと会話をしながら商品解説や、展示ブースの案内をしてくれるものだ。商品について尋ねればスペック等の詳細を教えてくれるし、ほかの場所にある展示物に関してもその場所まで移動して解説を続けてくれる。導入のためのコストはかかるが、日々の人件費はほとんどかからない。低コストで働いてくれる労働者が欲しい経営者にとっては、夢のような存在といえる。

Siriのような機能を持つ無人AIアバター

誤解があるかもしれないので記しておくと、AI音声対話アバターとは、SF作品に登場するような、AIが自我を持って何かしらを判断できるロボットとは違う。音声認識&言語理解のためのAI、話しかけられた言葉が日本語の何を意味するものかを認識する際にAI技術(深層学習技術)を用いて、音声合成で返答をしてくれる無人アバター技術を指す。

iPhone(アップル)のSiriや、AndroidのGoogleアシスタントといった音声認識・音声合成を行うAIアシスタントがあるが、同様の機能をアバターに組み込んだものだと捉えるべきだ。

来場したアバターの姿を認識。複数人が同時に話したときはもっとも近いアバターの声を優先して認識する。会話内容は別途テキストデータとして記録する(筆者撮影)

ゆえに、人間のように「開店前に掃除、営業中はカウンター作業を、閉店後に掃除をして日報を書いて」と言ってもそのとおりに動いてくれるわけではない。先に、AI音声対話アバターの返答や行動を決める辞書データ・行動データをすべて記しておかねばならない。残念ながら現代はSF世界の域にまでは進化していないのだ。

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