森脇健児が大ブレークからの挫折経て掴んだ天職 「余計なことをせず、素直に、謙虚に、コツコツと」

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走るだけではなく、山を登るなど、体力的な仕事のほか、昔、一緒に仕事をしたスタッフや後輩からの仕事のオファーも来るようになった。

その活躍から、ドラマ『日曜劇場 ルーズヴェルト・ゲーム』や『水戸黄門』などドラマの仕事も来た。

YouTubeにもチャレンジしてみた。最初はなかなか伸び悩んだが、関西で真剣に練習しているさまを映したら動画の再生回数やチャンネル登録者数が伸びはじめた。

「練習は20年近く1人でやってましたからね。そこにYouTubeが密着してくれるようになりました。僕としてはいつもどおりのことをやってるだけですけど、見ていただいてありがたいです」

うまく回っていたが、急ブレーキがかかってしまう。コロナの大流行だ。

「そらもうダメージはありました。目の前が真っ暗になりました。ただ世界中でみんなが真っ暗になりましたからね。30歳の頃の僕だけ目の前が真っ暗になったのとは話が違います。つらかったですが、やっとコロナの影響も少なくなってきました。今年から地方のマラソン大会が再開されています。

東京にも少しずつ行かせていただいてまして、ホテルに泊まって、大浴場でサウナに入って、いつも行きつけの焼き鳥屋に行って酒飲んで。いつもの隅田川のコースがあって、そこを走ってるときはとても幸せですね」

「やっとスタートラインに立てたって気持ち」

そんな森脇さんも55歳。年齢的に走ることが厳しくなってきたりはしないのだろうか?

「僕はサッカーの三浦知良選手と同い年なんですね。三浦さんはまだ現役の選手としてがんばってるじゃないですか。だから勝手に、自分もがんばれるって思ってます。一緒にするなって怒られるかもしれないですけど(笑)。

ここからが勝負やな、って感じてます。やっとスタートラインに立てたって気持ちです。もちろん20代にいろんなこと経験させてもらったのはとてもありがたかったですね。全部ネタにできますから。

ただ、これからも特別なことをするわけじゃなくて、来る仕事1本1本を愚直に、丁寧にこなしていくだけです」

(写真:筆者撮影)

芸能界の酸いも甘いも噛み分けてきた、森脇さん。自分に向けても、自分以外の人たちに向けても、

「余計なことをせず、素直に、謙虚に、コツコツ頑張るのが大事」

と何度も語るのが印象的だった。

とにかくポジティブで、話を聞いているだけで明るい気持ちになった。

森脇さんの、今後の活躍を楽しみにしたい。

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村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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