売り浴びせられる新興国、際立つブラジルの安定 誰も予想していなかった本物のセーフヘイブンに

拡大
縮小

中国やインドといった新興国市場の大国さえもボラティリティーの犠牲になっているが、天国ともいえるような落ち着いた投資環境の新興国がある。米利上げがもたらす悪影響から逃れたい投資家が選好しているのはブラジルだ。

新興国の株式と債券、通貨は軒並み数十年ぶりの激しい売りに見舞われているが、ブラジルは状況が異なる。通貨レアルのキャリー取引は2桁のリターンで、ブラジル債に対する強気の取引は13年ぶりの高水準だ。レアル建て債は高利回り債売りを免れ、ブラジル株は新興国市場で「最もホットな取引」とさえ呼ばれている。

ブラジル資産の好調ぶりは、苦境の新興国投資にとっては救いだ。中国は成長が鈍化し、インドは原油価格高騰で通貨ルピーが下落。アフリカでは債務危機が広がっており、東欧はユーロ急落で痛手を受けている。

 

政策金利が2桁で巨大な商品輸出産業を持ち、世界的な利回り急上昇が生む財政圧力に耐えることが可能な唯一の主要新興国と多くの人々が考えているのがブラジルだ。

次ページ大統領決選投票も影響せずとの楽観論も
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT