トルコが中東地域で孤立感を深める理由 イスラム国とトルコの複雑な関係
49人の人質解放に成功
――アクチャカレはどういう町なのでしょうか。
トルコ南東部のシリアとの国境に接する町です。トルコは南東部がシリア北部と911キロメートルにわたって国境を接しています。
シリア北部のラッカという都市とその周辺をイスラム国が制圧し、首都と位置づけていますが、ラッカの真北80キロメートルに位置し、幹線道路でラッカと結ばれているのがアクチャカレです。住民はアラブ系が多く、宗教はイスラム教スンニ派。アクチャカレがあるシャンルウルファ県は、大規模灌漑によって穀倉地帯となっており、南東部では比較的豊かな地域です。
――アクチャカレはラッカと目と鼻の先なのに、イスラム国は国境を超えてこの町に侵攻しては来ないということですよね。だからこそ人質解放の場所に選ばれるのでしょうけれど、それはなぜなのでしょうか。
それは「トルコとイスラム国がどういう関係にあるのか」に置き換えられると思います。昨年6月、イラク北部の都市モスルがイスラム国に制圧された際、トルコ総領事館が襲われ、総領事以下49人が人質になりましたが、3カ月後の9月20日に、アクチャカレで全員が無事解放されています。
――その時点で欧米人の人質は殺害されていたのでは?
イスラム国は、米国人2人、英国人1人の人質殺害映像を公開しており、なぜトルコだけが乳児や女性を含む大勢の人質を無傷で取り返すことができたのか、誰もが疑問に思いました。
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